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<概要>
 地震を始めとする自然現象による影響をうけた場合でも、発電所が一般公衆および従事者に過度の放射線被ばくを与えないように、原子炉施設はその要求される安全上重要な機能を損なうことがないように設計される。
 原子炉施設が設置される地盤については、強度等に関する様々な調査・試験が実施され、地震時にも十分な耐力を有しているかどうかが確認される。
 地震に対しては、敷地周辺における過去の地震履歴や活断層の有無などの詳細な調査が行われ、その結果は耐震設計・評価のために必要となる地震動の策定に利用される。
 地震以外の津波、洪水、台風などによる自然力に対しては、過去の記録の調査結果をもとに、想定される最大の荷重に対しても原子炉施設の安全性が損なわれないことの確認がなされる。
<更新年月>
2007年10月   

<本文>
 原子炉施設の基本設計およびその妥当性の確認は、原子力安全委員会の「安全設計審査指針」および「安全評価指針」によって行われる。
 この中で自然現象に対する設計上の考慮として、安全上重要な構築物、系統および機器は地震や津波、洪水、台風などの自然事象によって生ずる荷重に十分に耐えることが要求される。とくに耐震性については、「耐震設計審査指針」に基づく耐震設計が要求されている。
 表1に原子力発電所立地において考慮すべき自然事象に対する調査項目、内容などを示す。
1.地盤の調査
 地盤の調査については、発電所設置予定地の「敷地周辺の調査」と、設置位置を対象とした「敷地の調査」が行われる。
(1)敷地周辺の調査
 設置場所およびその周辺の地盤の形成時期や地盤の安定性の調査のために、敷地周辺の地質・地質構造について文献調査、空中写真判読、地表地質踏査などが行われる。海域については文献調査に加えて、音波探査が行われる。
 本調査にもとづき、地盤の形成時期の評価が行われるとともに、地形図、地質図、地質構造などが作成される。また断層やリニアメントの位置についても調査される。
(2)敷地の調査
 敷地の地質や地質構造を把握するため、地表地質調査、ボーリング調査、弾性波試験、試掘坑調査などが実施される。これらの調査結果は地質水平断面図、地質鉛直断面図等として整理される。
 さらに原子炉施設の基礎地盤については、物理試験、引張試験、三軸圧縮試験等の岩石試験や試掘坑内における岩盤支持力・変形試験、岩盤せん断試験、岩盤クリープ試験等が実施され、基礎地盤の強度特性や変形特性が詳細に検討される。
 これらの地質・地質構造や地盤物性に関するデータを用いて地盤安定解析を行い、地震によって地盤に作用する荷重と地盤が有している強度等を比較し、常時はもとより地震時においても安全上支障となる程の大変形、破壊等が起らないことの確認がなされる。
2.地震の調査
 耐震設計においては、敷地に影響を与える可能性のある設計上考慮すべき地震の想定が必要になる。
 地震の調査においては、過去の地震暦の調査を行うとともに、震源として想定する断層の評価のために、敷地周辺の地形、地質・地質構造について文献調査などを行い、空中写真による地形の調査、リニアメントの判読、地表地質調査などの安全性評価、を行い、発電所建設予定地周辺に存在する活断層の長さ、規模などが把握される。
 なお、海域については、音波探査により海底の地形・地質・地質構造の調査結果から断層の分布や活動性が分析される。
3.地震以外の自然力
 津波、洪水、台風、積雪、地すべり等の自然力については、過去の記録を調査し、想定される最も厳しい影響をうけたとしても、原子炉施設の安全性が損なわれないことの確認がなされる。
(前回更新:2005年9月)
<図/表>
表1 原子力発電所立地における自然事象に関する調査事項
表1  原子力発電所立地における自然事象に関する調査事項

<関連タイトル>
原子力発電所立地に関する環境調査 (02-02-01-02)
原子力発電所立地に関する気象調査 (02-02-01-03)
原子力発電所の耐震設計審査指針の改定 (11-03-01-30)

<参考文献>
(1)内閣府原子力安全委員会事務局(監修):改11版原子力安全委員会安全審査指針集、大成出版(平成15年3月)
(2)資源エネルギー庁、原子力広報ページ/e−原子力:敷地内に活断層がないことをどのように確認していますか
(3)資源エネルギー庁、原子力広報ページ/e−原子力:原子力発電所周辺は活断層をどのようにして調査しますか
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