<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> 世界のエネルギー情勢
<小項目> 世界のエネルギー消費
<タイトル>
世界のエネルギー消費の展望 (01-07-03-05)

<概要>
 OECD(経済協力開発機構)諸国は、世界の一次エネルギーの過半を消費しているが、供給はアジアなどの途上国に依存している。また、石油の約63%を消費し、天然ガスの約55%を消費している。石炭は、アメリカと中国の2か国だけで世界の半分を消費している。アジア地域のエネルギー消費は拡大し、これら発展途上国で人口増とエネルギー消費の相乗した大幅なエネルギー需要増が見込まれている。IEA国際エネルギー機関)諸国全体の国内総生産GDP)に対応したエネルギー需要は、エネルギー消費部門によって増加の仕方が違っている。石油危機で大きな影響を受けた各国は、脱石油政策とともに石油の供給源をOPEC(石油輸出国機構)以外の地域に分散させる方針を取った。最近、再び石油の輸入依存度が高まっており、輸送部門においては、圧倒的に石油が使われている。一方、原子力発電の拡大と天然ガス利用の増加により、二酸化炭素排出量の減少が実現されている。
<更新年月>
2005年07月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.世界のエネルギー消費の現状
 2001年のエネルギーの総消費量は、世界全体で石油換算91億トンである。エネルギー源別には、石油が38.5%で最も大きな割合を占め35億トン、ついで石炭23億トン24.7%、天然ガス22億トン23.7%、原子力約6億トン6.6%、水力6億トン6.5%である。二度の石油危機を経験して、OECD(Organization for Economic Cooperation and development:経済協力開発機構)の石油依存度は低下してきたものの。石油は依然として最大のエネルギー源である。また、世界の一次エネルギー需要の過半が先進地域のOECD諸国で占められている(需給構成とその推移 <01-07-02-07>参照)。一方、供給側に注目すれば、アジアなどの途上国は世界全体の40%の供給力をもっている。
(1) 石油の消費
 エネルギー需給全体の38.5%を占める石油は、先進諸国によってその過半数が消費される。石油消費の多い国を順にあげれば、アメリカが世界石油需要の26%を占め、ついで日本7%、中国6.6%、ドイツ3.7%、ロシア連邦4.8%である。
(2) 天然ガスの消費
 世界のエネルギー需給の23.7%を占める天然ガスは、その半分以上がOECD諸国で消費されている。天然ガス消費量の大きな国を順にあげれば、最大はアメリカ5.54億トン26%、次いでロシア連邦が4.9億トン(石油換算)で15%を占める。イギリスが4%となっている。
 2002年度の天然ガス総生産量は石油換算で23億トンで、最大の供給地は北米地域(6.6億トン、29%)および旧ソ連邦地域(5億トン、22.0%)で、合わせて世界全体の半分強の51%を生産している。
(3) 石炭の消費
 2001年の世界の石炭需要量は23億トン(石油換算)である。これは世界全体のエネルギー消費の24.7%を占める。ほとんどが生産国近隣で消費される。石炭の主要消費地域は中国、アメリカ、旧ソ連、インド、ドイツである。この5地域で世界の石炭消費の78%を占めている。なかでもアメリカと中国はそれぞれ5.6億トンおよび5.2億トンの消費量で、2か国だけで世界の約半分の48%を消費している。
 賦存地域が全世界に広がっていて身近にあることと石炭の価格が安いという理由から発展途上国での利用が多い。中国ではエネルギー消費の62%に達する。
(4) 原子力の利用
 原子力は世界全体のエネルギー消費量の約6.6%を占める。原子力についてはアメリカ、フランス、日本、ロシア連邦、ドイツが主な原子力発電所保有国である。
 日本原子力産業会議(現日本原子力産業協会)の調査によれば、2004年12月末で、運転中の原子力発電所は31か国で434基、3億7921万kwであった。建設中のものが10か国、33基、2805万kW、計画中のものが12か国、38基、3972万kWとなっている。
2. エネルギー利用の動向
 最近まで、世界的な好況のために、エネルギー需要の伸びが続いていた。現在不況の真っ只中にあるので、近い将来について予測することは出来ないが、この不況を克服すれば、再び、これまでの傾向が続くものと考えられる。最近までの予測によれば、特に東アジア地域を中心とした環太平洋地域でのエネルギー需要の拡大が始まるものと考えられる。この地域には韓国、台湾、香港、シンガポールの他、中国、インドネシアがある。実際、日本を除くアジア地域のエネルギー消費のシェアは、1986年の13.5%から1995年には20%に、2000年には21.0%にまで拡大している(国際エネルギー情勢と今後の展望 <01-07-02-01>参照)。また、東欧、アフリカ、インド等その他の発展途上国での人口増とエネルギー消費の相乗した大幅なエネルギー需要増が見込まれている。石油の産油量が横ばいないし減少気味なうえ、アメリカの国内産油量が減少に転じ、輸入が増加していること、および旧ソ連邦地域でも減産になり輸出が減っていること、などのためOPEC(Organization of Petroleum Exporting Countries:石油輸出国機構)諸国への依存度が増加している。今後、アジア諸国の経済発展が予想され、また東欧諸国による需要増も考慮すると、場合によっては、第三次石油危機が起こる可能性がある。もっとも、先進国では国内備蓄が進んでいることや、原油価格が高騰すれば消費が抑制されるために、それほどの危機状態にはならないと見る意見もある。2004年以降原油の高騰が続いている。
(1) IEA国内総生産とエネルギー需要の推移
 長期的な傾向で見ると、IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)諸国全体の国内総生産(GDP:Gross National Product)に対応したエネルギー需要は、エネルギー消費部門によって増加の仕方が違っている。電力需要はGDPに比例して増大している(図1)。したがって、電力生産のためのエネルギー消費は電力需要に応じて増加する。輸送部門のエネルギー消費もまた、経済の拡大とともに増加する。しかし、化石燃料の最終消費量は、1973年と1979年のオイルショック時の石油価格の高騰に反応し減少している。これに反して、電力需要は、石油危機には反応せず、比例して増加している。
(2) 産業、民生、輸送部門の燃料ごとのエネルギー需要の推移
 産業部門のエネルギー需要は、1973年から1994年まで比較的定常である(図2)。民生部門においては、電力需要が急速に増加している。これにガスの需要が追随している(図3)。輸送部門の需要は大部分が石油であり、急速に増加している(図4)。輸送部門の石油消費は、オイルショックで減少しているが、エネルギー需要はGDPに比例して増加している。収入の減少に起因する輸送部門の需要の減少の方が、ガソリン価格の増加によってGDPの増加よりも大きかったということを示している。例えば、ガソリンの値段の中のかなりの部分が税金であること等が影響している。
(3) エネルギー需要とエネルギー利用効率の改善
 いろいろの装置を用いる際のエネルギー利用の効率は、改善されているにもかかわらず、エネルギー需要は、増加を続けている。多くのIEA諸国の最近までのエネルギー効率の改善はエネルギー需要の減少として実を結んでいない。生活の水準が向上してエネルギー需要を増加させているためである。例えば自動車の燃料効率は良くなっているが、消費者は、もっと大きい車を買い、もっと遠くまで運転しようとする。こうして、局部的なエネルギー効率の改善は、全体の需要減に結びつかない。同様な現象が、エネルギー需要の増加傾向とエネルギー消費の対GDP原単位の減少との間にもある。図5に、IEA全体のエネルギー需要とエネルギー消費の対GDP原単位を示した。エネルギー消費の対GDP原単位は、地勢、気候、人口密度、資源賦存量に依存するけれども、IEA諸国のエネルギー消費の対GDP原単位は、全ての部門において減少している。エネルギー消費の対GDP原単位の減少の割合が、GDPの増加の割合よりも小さいということである。
(4) 燃料選択の傾向
 1986年の石油価格の急落以降、旧ソ連・中東欧諸国での需要の顕著な落ち込みにもかかわらず、エネルギー需要は急速に拡大してきた。世界のエネルギー需要は、1986年から1992年の間に17%伸びており、1999年の石油需要は1989年に比較して日量793万バレルまでに拡大している(1999年日量7189万バレル)。特に発展途上国の需要の増加により増加の傾向は現在も続いている。
 石油危機で大きな影響を受けた各国は、脱石油政策とともに、石油の供給源をOPEC以外の地域に分散させる方針を取った。そのため、世界の原油生産に占めるOPEC諸国の割合は落ち込んだ。アメリカや北海油田、メキシコなど非OPECの比重が増したためである(国際エネルギー情勢と今後の展望 <01-07-02-01>参照)。ところが、1986年ごろからの石油需要の増加とともに、石油の輸入依存度が高まっている(図6参照)。
 電力は、熱源としての石油や石炭に置き換わってきている。実際、民生その他部門中のエネルギー消費に占める電力は、1973年以来着実に増加している。近年は特に、エアコン、OA機器の使用の増加が、電力消費の増加を招来している(図7参照)。また、天然ガス需要も、供給のネットワークが拡大し、電力生産での消費も増加してきたことを反映して、過去10年間に着実に増加し、最終消費中のシェアが増えている。IEA諸国の天然ガスの生産も増加しているが、需要に追いつかず、輸入が増加している。
 また、道路輸送が増加したために、全石油需要の中に占める輸送部門のシェアが、1974年から1995年の間に著しく増加した。輸送部門においては、他の部門に比べて、ほかの燃料への転換が困難なため、石油は圧倒的に、輸送部門で使われるようになっている
(5) エネルギーと環境
 石油危機後の石油代替エネルギーの中心となったのは、石炭と原子力である。その実績を世界の主要国で構成されるOECDの数字で見ると、1973年の一次エネルギー需要の構成比では、石油53.2%、天然ガス19.7%、石炭20.2%、原子力1.2%であったものが、2001年には石油38.5%、天然ガス23.7%、石炭24.7%、原子力6.6%となっている。問題は、この傾向がこれからも続くか、という点にある。発展途上国が期待するエネルギー源は原子力よりもまず化石燃料、なかでも石炭依存が大きいであろう。しかし、石炭の燃焼時の地球環境問題、すなわち、二酸化炭素の増加による地球温暖化が危惧されているなかで、これ以上の増加は難しい。もう一つ、SOx、NOxの排出に伴う酸性雨問題がある。原子力は発展途上国が2010年頃までに手掛けるには少し準備が不足している。ただ、もっと2030年等の長期間を考えれば一般的な傾向としては、原子力は緩やかながらも着実に比重を増していくと予想されている。
近年、ドイツ、フランスおよび英国において二酸化炭素排出量の顕著な減少を実現している。ドイツの場合は、旧東ドイツとの統一の結果、エネルギー消費が減少したためであるが、フランスと英国は原子力と天然ガスの利用によるものである(表1)。
<図/表>
表1 フランス・英国の燃料転換
図1 IEA諸国の部門別エネルギー消費および国内総生産(購買力換算)推移(1990〜1996)
図2 産業部門のエネルギー最終消費の推移(1973〜2000)
図3 民生部門のエネルギー最終消費の推移(1973〜2000)
図4 輸送部門のエネルギー最終消費の推移(1973〜2000)
図5 IEAの最終エネルギー消費の対GDP原単位と一次エネルギー供給の推移(1973〜2000)
図6 IEAの正味の石油・天然ガス輸入の推移(1973〜2000)
図7 民生その他部門中のエネルギー消費に占める電力の割合

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<関連タイトル>
国際エネルギー情勢と今後の展望 (01-07-02-01)
需給構成とその推移 (01-07-02-07)

<参考文献>
(1)BP Amco社のホームページ:「bp Statistical Review of World Energy 2001」
(2)日本原子力産業会議のホームページ「世界の原子力発電開発の動向−2004年12月31日現在−(http://www.jaif.or.jp/ja/news/2005/0408doukou.html
(3)日本エネルギー経済研究所エネルギー計量分析センター(編):EDMC/エネルギー・経済統計要覧2003年版、(財)省エネルギーセンター(2003年2月)
(4)IEA,Energy Policies of IEA Countries 1997 Review,OECD Publications,p.15-29
(5)資源エネルギー庁(編):エネルギー2004、(株)エネルギーフォーラム(2004年1月)p.229
(6)(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構ホームページ
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