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<概要>
 1月23日福島、新潟、福井県の三知事は、橋本首相、科学技術庁(現文科省)長官、通産大臣を訪問し、核燃料サイクル政策を進めるにあたっては、国が前面に出て、国民の合意形成に努めるよう要望した。これを受ける形で、3月15日原子力委員会は広く国民各層からの声を原子力行政に反映させるため、原子力政策円卓会議を設置することを決定した。原子力安全委員会も、審議内容の透明化を図るため、本会議をはじめ専門部会会合の一般公開、会議資料や議事録の原則公開などを決定し、情報公開の制度化への道筋をつけた。
 日本原電は、東海発電所(GCR)の営業運転を1998年3月(平成10年)に停止、廃止措置に入ることを決定した。商業用発電所の初号機としてわが国の原子力発電の定着に大きく貢献してきたが、軽水炉に比べて発電コストが割高という経済性が最大の理由である。
 米国では、使用済燃料の貯蔵施設の代替案として有望視されていた、インディアン居留区での監視付き回収可能貯蔵(MRS)計画が行き詰まった。
<更新年月>
2001年03月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 
1.内外の原子力関係の出来事
月日 国内 国外
1996年
(平成8年)
1/11 第1次橋本内閣が発足、科技庁長官に中川秀直氏、通産大臣に塚原俊平氏  
1/21 巻町長選、笹口孝明氏が当選  
1/23 福島・新潟・福井県の三知事、中川科技庁長官と塚原通産相を訪問、国民合意形成に全力を尽くすことなどを要望  
1/24 科技庁、「もんじゅ」事故の原因を温度計破損と断定  
1/29   英BNFL、中レベル廃棄物管理施設の建設に着手
1/30   米ロ、兵器級ウラン民需転換計画の経過を公表
1/31 日本原燃、六ケ所再処理工場建設費の詳細を公表、直接費は1兆6,000億円  
2/2   仏原子力施設安全局、スーパーフェニックスに60%出力の運転認可
2/6   米DOE、プルトニウム貯蔵量を初公開
2/9 科技庁、「もんじゅ」事故の調査状況と再発防止に関する報告書をまとめる  
2/23 福井県と大飯町、大飯4号機の高燃焼度燃料の先行照射計画を了解  
2/28 堀北海道知事、中川科技庁長官に対し、ITERの苫小牧東部地域への誘致を正式に要望 仏の近隣諸国への輸出電力量、700kWhに
3/14 原研、JPDR解体実地試験終了に伴い「原子炉解体技術開発に関する報告会」を開催  
3/15 原子力委員会、原子力政策円卓会議の設置を決定  
3/22   チェルノブイリ事故影響国際会議、甲状腺がんの増加を認める
3/26   インドで3番目の再処理工場が操業開始
3/28 動燃事業団、「もんじゅ」で行方がわからなかった破損した温度計さや管を発見  
4/4 原産調べ、平成7年度の原子力発電所の設備利用率80.2%を記録  
4/16   米、メスカレロ・インディアン居住地での使用済み燃料中間貯蔵施設建設計画が頓挫
4/17 東通原発1号機親切に関する第1次公開ヒアリング開催▼苫小牧市長、ITER誘致を要望  
4/19 日本学術会議、「もんじゅ」ナトリウム漏洩事故でシンポジウム  
4/20   モスクワで原子力安全サミット、サミット宣言とCTBTに関する声明を採択
4/22 資源エネルギー庁、原子力発電所高経年化対策取りまとめ  
4/25 原子力委、第1回原子力政策円卓会議開催  
5/2 通産省、三菱重工に、中国・泰山原子力発電所二期工事向け関連機器輸出許可  
5/23   スウェーデン、原子力政策検討で超党派協議を開始
5/31 珠洲市長選、最高裁で無効判決。50日以内のやり直し選挙が決定  
6/2   欧州連合(EU)、統一電力市場政策を採択
6/11 原子力政策に関する青森賢人会議が初会合▼資源エネルギー庁、新潟県で1日資源エネルギー庁開催  
6/24   中国と台湾、原子力分野ではじめて学術交流
6/27   チェコとハンガリーがOECD/NEAに加盟
6/28 原電、東海原子力発電所の営業運転を平成10年3月末日をメドに停止、廃止措置に入ることを決定  
7/14 珠洲市長やり直し選挙、原子力発電推進の貝蔵氏が当選  
7/18 電調審、東通1号機を上程  
7/24   ITER第10回理事会開催、立地選定に向けた本格協議がスタート
8/4 巻町で、原子力発電所立地の是非を問うわが国初の国民投票を実施。建設賛成39%、反対61%に  
8/20 日米原子力協定「プルトニウム加工施設」のリストに、ベルギー、英、仏の5工場を追加する手続きが、日米両国政府間で終了  
8/21 旧原子力船「むつ」を改造した大型海洋観測研究船「みらい」進水式 スイス政府、廃棄物中間貯蔵施設の建設計画を承認
8/30 原子力委、ITERの核融合研究開発基本計画への組み入れを了承  
9/6   ウラン協会、ウランの将来需給で報告書
9/9   IAEA、放射性物質安全輸送規則を改定
9/10   国連、包括的核実験禁止条約(CTBT)を採択
9/27 通産省、平成7年度エネルギー需給実績を発表、原子力は一次エネルギーで過去最高の12%を供給  
10/3 わが国原子力発電所、平成8年度上期の設備利用率82.3%を記録▼芽東大教授ら円卓会議のモデレーター6名、原子力委とある程度距離を持った「新円卓会議」の設置等を提言  
10/4 原子力委、専門部会の原則公開などを盛り込んだ部会公開規定を決定  
10/7 静岡県浜岡町、浜岡5号機増設に条件付きで同意  
10/10   加オンタリオハイドロ社、三分割再編案を了承
10/11 原子力委、「高速増殖炉懇談会」や「新円卓会議」の設置などを骨子とする原子力政策を決定  
10/14   インド原子力産業会議が発足
10/15   仏原子力施設安全局、スーパーフェニックスの90%出力運転を認可
10/18 原子力委の第4回高レベル放射性廃棄物処分懇談会、初の一般公開下で開催  
10/24   IAEAの原子力安全条約が発効
11/5 外務省、アジア原子力安全東京会議を開催  
11/7 第2次橋本内閣発足、科技庁長官に近岡理一郎氏、通産大臣に佐藤信二氏▼東京電力・柏崎刈羽6号機(ABER、135万6000kW)が営業運転を開始  
11/8   ベトナム原子力委、原子力導入F/Sの概要を公表
11/11 経団連とドイツ産業連盟、地球温暖化防止に関する共同宣言を発表、原子力の重要性を盛り込む  
11/13 中国電力が山口県、上関町、関係権利者に対し、上関原子力発電所の建設申し入れ  
11/17 宮崎県串間市長選、原子力発電所立地に関する住民投票の1年以内の実施を公約に掲げる山下市長が再選  
11/21 志賀2号機増設に関する第1次公開ヒアリング開催  
11/26 中国泰山原子力発電所向け2次系主要機器を、加原子力公社を通じ、日立が一括受注  
12/5 原子力委、部会などの全面公開決定  
12/9   米エネルギー省、余剰兵器級プルトニウムの処分戦略を発表
12/10 原産が平成7年度の原子力産業実態調査、売上2兆円を回復  
12/19 浜岡5号機増設に関する第1次公開ヒアリング開催▼動燃事業団、「もんじゅ」の総点検作業開始  
12/20 原子力委、「ITER懇談会」を設置  
12/27   中国とロシア、連雲港原子力発電所建設で調印


 
2.社会一般の出来事
月日 国内 国外
1996年
(平成8年)
2/10 北海道古平町の豊浜トンネルで落盤事故発生、路線バスと乗用車の20人死亡  
3/27   EU、狂牛病問題で英国産牛肉全面禁輸を決定
4/12 日米両国政府、普天間基地の全面返還で合意  
5/10 96年予算が成立、住専処理問題のための6850億円が盛り込まれる  
6/21 政府・与党、消費税を3%から5%に引き上げること決定、1997年4月から実施  
7/13 堺市の小学校で病原性大腸菌O-157による大量感染、集団食中毒各地で発生  
8/29 薬害エイズ事件で、安部前帝京大副学長を逮捕  
9/18   北朝鮮潜水艦が韓国に侵入
12/17   ペルー日本大使公邸をゲリラ襲撃、人質を楯に占拠


<参考文献>
(1) 日本原子力産業会議(編集発行):原子力のあゆみ 原子力年鑑 2000/2001年版 別冊(2000年10月)
(2) 日本原子力産業会議(編集発行):原子力年鑑 1997年版 (1997年10月)
(3) 読売新聞社(編集発行):読売年鑑 1997年版
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