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<概要>
 ソ連が開発したVVER型原子炉PWRの一種ではあるが、西欧のPWRとは異なるので、VVERに分類するのが妥当である。1号炉は21万kWで1964年10月に運転を開始し、278MWeまで増強され、1984年6月に閉鎖された。
<更新年月>
1998年07月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 最初のVVERは、ノボボロネジに建設した1号炉で当初の発電端電気出力は210MWe(送電端196MWe)であった。1959年8月に建設を開始し、1964年10月1日にボロネジ・エネルゴ電力系統に送電を開始し、1964年12月に設計出力に達した。発電端電気出力は最終的に278MWeまで増強された。なお、この原子炉は1984年6月に閉鎖された
 ソ連はこのノボボロネジ1号炉で運転経験を蓄積し、VVER炉発電所が電力系統のなかでどのような働きかたをするのかについて研究を行った。ノボボロネジ1号炉は1965年11月に燃料取り替えを行った。
 運転員達は、クルチャトフ原子力研究所の専門家の指導を受け、1969年1月7日から10日までの間、1号炉の原子炉出力を設計値である210MWeから280MWe(34%増)に上げる実験を行った。すなわち72時間の連続運転を実施した。この際に5年間にわたる発電所の運転経験(試運転を含む)をすべて参考にした。また電力系統の朝および夕方における最大負荷をカバーするため出力調整運転を実施した。すなわちピーク時には1号炉を定格出力で、夜間は30%出力で運転した。
  図1 は、ノボボロネジ原子力発電所の所在地図である。 図2 にノボボロネジ1号(VVER-210)原子炉垂直及び水平断面図を、 図3 に同炉の燃料集合体の断面図を、 図4 に同炉の系統フロー図を示した。
<図/表>
図1 ノボボロネジ原子力発電所の所在地図
図1  ノボボロネジ原子力発電所の所在地図
図2 ノボボロネジ1号(VVER-210)原子炉垂直および水平断面図
図2  ノボボロネジ1号(VVER-210)原子炉垂直および水平断面図
図3 ノボボロネジ1号(VVER-210)の燃料集合体
図3  ノボボロネジ1号(VVER-210)の燃料集合体
図4 ノボボロネジ1号(VVER-210)の系統フロー図
図4  ノボボロネジ1号(VVER-210)の系統フロー図

<関連タイトル>
ロシア型加圧水型原子炉(VVER) (02-01-01-03)
ロシアの原子力発電開発 (14-06-01-02)
超ウラン元素の発見 (16-02-02-03)
高速増殖炉BN-350(発電・海水脱塩炉)の建設 (16-03-02-07)

<参考文献>
1. ソ連の原子力開発のすべて、A.M.ペトロシャンツ、伊藤弘、篠原慶邦訳、1981年、原子力産業会議
2. Directory of Nuclear Reactors Vol.IV, IAEA, 1962
3. 詳細原子力プラントデータブック 1985, 藤井晴雄、日本原子力情報センター発刊
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