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<概要>
 (財)発電設備技術検査協会は、1970年に発電設備の品質の維持・向上及びこれらに関連する技術の進歩、発展を図り、人命及び財産の安全の確保に寄与するとともに、電気事業及び電機工業の健全な発展に資する目的で設立された公益法人である。本協会は、上記目的のため(1)溶接・非破壊検査技術等の厳格な審査・検査、(2)溶接・非破壊検査技術等の維持・向上、及び(3)自主保安活動の技術支援を目標にした(a)安全管理審査、(b)ISO認証、(c)確認試験(施工法、溶接士)、(d)電気工作物の民間製品認証、(e)規格基準調査、(f)確性試験、(g)溶接・非破壊検査の調査研究、(h)溶接・非破壊検査の研修、(i)PD(実技)研修、(j)自主保安支援などが業務である。
<更新年月>
2010年11月   

<本文>
1.協会の設立目的
 (財)発電設備技術検査協会は、1970年に設立された(財)発電用熱機関協会が1985年に改称してできた。本協会は発電設備の品質の維持・向上及びこれらに関連する技術の進歩、発展を図り、人命及び財産の安全の確保に寄与するとともに、電気事業及び電機工業の健全な発展に資する目的の公益法人である。目的達成のため以下の目標を掲げている。
(1)溶接・非破壊検査技術等の厳格な審査・検査
 技術力と専門的知見・経験を基に、溶接・非破壊検査分野の卓越した審査・検査力を涵養する。民間の第三者機関として、法令を遵守し、信頼され公正で厳格な審査・検査に当たる。
(2)溶接・非破壊検査技術等の維持・向上
 産業界や規制の求めに対応できる溶接・非破壊検査の高度な専門的知識と技術力を維持する。このため、溶接・非破壊検査に関する試験研究施設と研修施設を備える。
(3)自主保安活動の技術支援
 規制や民間の自主保安活動については、長期的な視野に立って技術と制度の両面にわたり情報を発信しその活動を支援する。
2.沿革
 表1に本協会の推移を示す。1970年に(財)発電用熱機関協会が発足し、1985年に(財)発電設備技術検査協会(JAPEIC)に改称した。原子力発電に関する業務は1980年から始まり、1984年には火力・原子力発電設備の溶接検査等の国の指定検査機関となった。
 2004年発足の溶接・非破壊検査技術センターは、発電設備の材料・溶接部の健全性を非破壊評価する技術の確立を進める。
3.組織
 図1に組織を示す。理事会は14名の理事で構成され、ほかに22名の評議員がいる。2010年度の職員数は98名である。本部は東京、西日本支部は大阪、溶接・非破壊検査技術センターは横浜にある。2009年度の事業規模18億円、基本財産は21.2億円、そのうち4.6億円は電力会社等の寄付である。
4.業務の概要
 表2に2010年度の(財)発電設備技術検査協会の10業務の概要を示す。各々の業務は相互に関連があるが、凡そ次のように分類できる。
4.1 溶接・非破壊検査技術等の厳格な審査・検査に関する業務
(1)安全管理審査
 2000年から電気事業法に基づく指定安全管理審査機関である。電力会社などの電気工作物の設置者が行う法定事業者検査の体制を国の安全管理審査の基準に従い審査する。安全管理審査には次の区分がある。
(a)使用前安全管理審査
 出力3万kW未満の火力発電設備の電気工作物を設置または変更した場合、設置者が工事計画及び技術基準に適合していることを確認する使用前自主検査について、組織、方法、管理、工程、教育訓練などを審査。
(b)溶接安全管理審査
 火力発電所等の発電設備のうち、経済産業省令で定める機械や器具について設置者が技術基準に適合していることを確認する溶接事業者検査において、組織、方法、管理、工程、教育訓練などを審査。
(c)定期安全管理審査
 出力3万kW未満の火力発電設備に属する電気工作物の定期事業者検査について、組織、方法、管理、工程、教育訓練などを審査。
(2)ISO認証
 本協会は、JAB(公益法人日本的合性認定協会)認定の品質/環境審査登録機関である。電力会社、建設会社、電設会社、エンジニアリング会社、プラント機器製作会社、制御機器製作会社、プラント建設会社、プラントメンテナンス会社、検査・計測サービス会社等が主な対象である。
(3)確認試験(施工法、溶接士)
 発電施設などの設置者は、電気工作物の溶接施工法及び溶接士の技能について、溶接事業者検査の責任があり、客観性を有する方法で技術基準への適合性を確認する必要がある。本協会は、その溶接施工法及び溶接士の技能を文書及び立会により確認・試験する。
4.2 溶接・非破壊検査技術等の維持・向上に関する業務
(4)電気工作物の民間製品認証
 2004年から(財)日本適合性認定協会の製品認証機関。火力発電設備、原子力発電設備等の電気工作物について、溶接管理プロセス、溶接施工法及び製品溶接部を認証するとともに、必要に応じ溶接士技能の承認取得に関し教育する。
(5)規格基準調査
 発電設備機器に関する内外の規格基準を調査し、発電設備機器関連の規格基準作成に参画する。
(6)確性試験
 電気工作物は、電気事業法で保安のため技術基準に適合するように維持し、使用前検査、溶接検査、定期法定事業者検査等によって技術基準への適合を図る。
(7)溶接・非破壊検査の調査研究
 溶接・非破壊検査技術センター(NDEセンター)は、2004年に試験研究部門を集約し改称・発足。また同年に技術研修の溶接・非破壊検査アカデミーを付設し調査研究を担う。これまでに、非破壊による欠陥の検出、溶接部の応力腐食割れ(SCC)及びクリープ等の経年劣化現象を自主調査した。ほかに国、民間等からの受託調査研究もある。
4.3 自主保安活動の技術支援に関する業務
 2006年に溶接・非破壊検査技術センターに付設されたPD(実技:Performance Demonstration)研修センターが担う。
(8)溶接・非破壊検査の研修
 電気事業法に沿って溶接部の健全性評価に必要な知識と非破壊検査技術の講義及び実技の研修をコース別に講習会形式で定期的に開催。
(9)PD研修
 発電用原子炉においてはプラントの超音波探傷試験のための探傷装置、試験システム、性能実証のための認証制度がある。このため、PD認証技術者とPD研修制度が制定された。PD研修制度は、PD認証技術者が認証更新申請までに受講が義務付けられている。
(10)自主保安支援
 発電設備の自主保安のために検査等を支援する。
(a)原子力発電所に係わる定期事業者検査への支援
 電気事業者が行う定期事業者検査に係る自主保安活動、検査の立会い等を支援する。
(b)原子力発電所に係わる溶接事業者検査への支援
 電気事業者が行う溶接事業者検査に係る自主保安活動、溶接設計審査、検査の立会い等を支援する。
(前回更新:2004年2月)
<図/表>
表1 (財)発電設備技術検査協会の沿革
表1  (財)発電設備技術検査協会の沿革
表2 発電設備技術検査協会の業務内容(2010年)
表2  発電設備技術検査協会の業務内容(2010年)
図1 組織図
図1  組織図

<関連タイトル>
原子力発電所の定期検査 (02-02-03-07)
電気事業法(原子力安全規制関係)(平成24年改正前まで) (10-07-01-08)

<参考文献>
(1)発電設備技術検査協会、ホームページ、

(2)同上、沿革、http://www.japeic.or.jp/g-shoukai/enkaku/enkaku.htm
(3)同上、組織とJAPEICデータ、
http://www.japeic.or.jp/g-shoukai/sosikizu/sosikizu.htm
http://www.japeic.or.jp/g-shoukai/g-data/g-data.htm
(4)同上、業務内容、http://www.japeic.or.jp/gyoumu/gyoumu.htm
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