<大項目> 国際協力・原子力関連機関
<中項目> わが国の原子力関連機関
<小項目> 政府関連機関
<タイトル>
日本分析センター (13-02-01-20)

<概要>
 日本分析センターは、わが国の科学技術の振興を図り、原子力平和利用の発展に寄与するため、放射能分析技術の向上と分析技術者の育成を行うことを目的として、昭和49年(1974年)5月に設立された財団法人である。現在は、文部科学省所管の公益法人で、わが国唯一の環境放射能・放射線に関する分析専門機関である。国や地方公共団体および民間企業等からの依頼を受けて、土壌や河川水、海水、大気、食品などの環境試料等の放射能分析・測定調査を実施している。また、地方公共団体等の要請を受けて環境放射能分析・測定に携わる技術者を対象とした環境放射能分析・測定に関する実務研修や環境放射能・放射線に関連したデータの提供、ならびに放射能分析・測定法マニュアル「放射能測定法シリーズ(文部科学省)」の頒布も行っている。
<更新年月>
2005年09月   

<本文>
1.設立の経緯と目的
 わが国の原子力平和利用の健全な発展を図るためには、原子力発電所などの原子力施設周辺の環境試料中のバックグラウンド放射能水準の正確な評価や施設の稼働に伴う放射能水準の推移の追跡などを行い、原子力安全の確保に努める必要がある。
 また、原子力軍艦の寄港に伴う周辺環境物質の正確な放射能調査、あるいは、核爆発などによる放射性降下物に起因する放射能水準把握のため、平常時における環境試料の分析も重要な課題である。
 このことから、わが国の分析に関する業務を全国的に実施する機関として、昭和49年(1974年)5月に、財団法人日本分析センターが設立された。日本分析センターは、わが国の科学技術の振興を図り、原子力平和利用の発展に寄与するため、放射能分析技術の向上と環境放射能分析測定に携わる地方公共団体等の分析技術者の育成を行うことを目的としている。
2.組織
 分析センターは、図1に示すように、理事会のもと、総務部と企画室、事業部門の分析部、情報部、原子力艦放射能調査室および品質保証室で構成している。
3.主な事業の概要
3.1 文部科学省からの受託事業
3.1.1 原子力軍艦寄港に伴う放射能調査
 原子力艦の寄港地周辺住民の安全を確保するために、寄港の前後および定期的に放射能調査を行っている。すべての原子力軍艦寄港に伴い、寄港地における現地調査班の一員として職員を派遣するとともに、軍艦出港後に採取される海水、海底土の放射能分析(出港後調査)および四半期ごとに採取される海水、海底土、海産生物の放射能分析(定期調査)を行う。
 また、原子力軍艦放射能調査モニタリングポストデータベースシステムの管理ならびに現地放射能調査班員を対象にした技術研修を行う。
3.1.2 環境放射能測定調査
(a) 環境放射能水準調査
 都道府県の放射能調査機関および当センターが採取する環境試料(放射性降下物を含む)等の放射能分析を行う。
(b) 近海海産生物等放射能調査
 独立行政法人水産総合研究センターが日本近海で採取する海産生物等の放射能分析を行う。
(c) ラドン濃度測定調査
 都道府県の放射能調査機関と連携して、職場環境のラドン濃度測定調査を行う。
 また、これまでに実施した屋内、屋外も含めた調査結果のまとめを行う。
(d) 久米島およびその周辺海域における環境調査
 久米島およびその周辺海域における環境放射能調査を行うとともに、調査結果の総合的な評価を行う。平成13年度の環境調査結果をとりまとめた報告書(劣化ウラン含有弾の誤使用問題に関する環境調査の結果について、)が入手できる。
(e) 広域海洋放射能調査
 日本海における放射性物質の循環と蓄積を調べるために採取される海水、海底土等の放射能分析を行う。
(f) 食品試料の放射能水準調査
 国内の流通食品中の放射能レベルの把握を目的として、食品の放射能調査を行う。
(g) 中性子線量率水準調査
 全国の中性子線量率レベルの把握を目的として、一般環境における中性子線量率の調査を行う。
3.1.3 放射能分析確認調査
(a) 立地県との分析確認
 原子力施設立地15道府県の各分析機関を対象に、環境放射線モニタリング技術の信頼性の確認、維持・向上に資するため、60Co,90Srなどの放射性核種・元素分析、熱ルミネッセンス線量計(TLD)およびガラス線量計による環境ガンマ線の積算線量測定および連続モニタによる環境ガンマ線量率測定について相互比較による分析値の確認を行う。
(b) 隣接県等との分析確認
 34都道府県の放射能調査機関を対象に、環境放射能調査の技術の信頼性、維持・向上に資するため、放射性核種分析について分析確認を行う。
3.1.4 環境放射線データ収集管理
(a) データ収集管理
 原子力軍艦の寄港に係る放射能調査結果、環境放射能水準調査結果、原子力施設周辺の環境放射線監視結果等を環境放射線データベースに収録し、収録されているデータを関係機関へ提供する。
 また、ホームページ「日本の環境放射能と放射線」(http://www.kankyo-hoshano.go.jp/kl_db/servlet/com_s_index)により、放射能調査の結果をより分かりやすい形として公開を進める。
 さらに、現在保管している放射能調査の報告書類を電子文書化する。
(b) 環境放射線評価情報収集提供システムの高度化
 各都道府県の放射能調査機関との間ですでに整備された環境放射線ネットワークを運用するとともに、未整備機関の整備を進める。
3.1.5 環境試料測定法調査
 使用済核燃料再処理施設における緊急時防災対策に重要となる環境試料の迅速分析法に関する調査研究を行う。
3.1.6 放射性核種分析法の開発に関する調査研究
 ゲルマニウム半導体検出器を用いた野外における空間放射線の測定(in-situ測定)に関する調査研究を行う。また、放射能測定シリーズ(文部科学省制定)のための調査研究を行う。(表1
3.1.7 放射能に関する特別調査等
 上記の他に、文部科学省、経済産業省等からの新たな調査の受託、原子力施設における事故等の緊急性のある放射能特別調査あるいは社会的要請に基づく調査には、積極的に対応する。また、環境省の委託を受けて、国内における酸性雨の実態把握などを目的に設置されている国設酸性雨測定所のうち遠隔地を含む12か所における放射線自動連続モニタリング装置のデータの整理・解析を行う。
3.2 民間等からの受託事業
3.2.1 研修事業
(a) 分析技術者の技術水準の維持・向上を図るため、原子力施設等で従事する技術者を対象に環境放射能分析研修を行う。
(b) 国際協力事業団(JICA)が主催する環境放射能分析に関する集団研修を行う。
3.2.2 分析等受託事業
 国、地方公共団体、独立行政法人、公益法人、電力会社等との受託契約に基づいて、環境試料等の放射能分析・測定、元素分析(中性子放射化分析、ICP-MS)、シックハウス物質およびドーピング禁止物質の分析等、さらに、低レベル放射性廃棄物分析、炭素14 分析による年代測定等を行う。
3.2.3 放射能に関する特別調査
 原子力施設における事故等の緊急性のある放射能特別調査については、積極的に対応する。
3.3 補助事業
3.3.1 研修事業
 環境放射能分析技術者・測定技術者の技術水準の維持・向上を図るため、地方公共団体の技術者に対して環境放射能分析研修を国の補助金で実施する。また、国外の環境放射能分析・測定技術者の研修を実施する。
3.4 自主事業
3.4.1 国際技術交流
(a) 国際協力事業
 日本分析センターと同様の調査を行っている台湾、韓国、中国およびインドネシアの関係機関と環境放射能調査に関する技術協力を進めるとともに、国等が行う国際協力事業に協力する。
(b) 国際原子力機関(IAEA)、世界保健機関(WHO-IRC)等が実施する環境放射能に関する国際相互比較分析プロジェクトに参加する他、諸外国の環境放射能調査機関との交流を促進する。
3.4.2 普及啓発
(a) 環境放射能分析技術の普及啓発
・関係機関等の要請に応じ、環境放射能分析技術の指導・普及を行う。
・わが国の環境放射能分野における標準的分析・測定法マニュアルとして、放射線審議会における審議を経て制定されている「文部科学省放射能測定法シリーズ」を現在28冊頒布している。
(b) 広報
 日本分析センター四半期報および年報を刊行する他、インターネットホームページ「日本の環境放射能と放射線」「環境放射能データベース」(http://www.kankyo-hoshano.go.jp/kl_db/servlet/com_s_index)による情報公開を推進する。
4.センター所在地
 〒263−0002 千葉県千葉市稲毛区山王町295−3
 Tel.043−423−5325
<図/表>
表1 放射能測定法シリーズ一覧表
図1 日本分析センター組織図

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
文部科学省分析マニュアル (09-04-03-24)

<参考文献>
(1)(財)日本分析センターホームページ:http://www.jcac.or.jp、「日本分析センター平成15年度第1四半期報」(2005年7月8日)
(2)(財)日本分析センター(編):日本分析センター年報、(財)日本分析センター
(3)文部科学省:日本の環境放射能と放射線、http://www.kankyo-hoshano.go.jp/kl_db/servlet/com_s_index(2005年9月30日)
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