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<概要>
 平成17年度(2005年度)のわが国の試験研究用原子炉および研究開発段階炉における放射線業務従事者線量について実績をまとめた。放射線業務従事者で法令に定める線量限度を超える被ばくを受けた者はいなかった。1人あたりの平均線量は、試験研究用原子炉が0.0ミリシーベルト、研究開発段階炉(発電の用に供するもの)が0.1ミリシーベルトであり、全体の平均で0.1ミリシーベルトであった。また、放射線業務従事者の総線量は試験研究用原子炉が196人・ミリシーベルト、研究開発段階炉が160人・ミリシーベルトであり、合計で356人・ミリシーベルトであった。研究開発段階炉における総線量および平均線量はふげん発電所が運転終了した平成14年度以降、急速に減少してきている。
<更新年月>
2008年01月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 「核原料物質核燃料物質および原子炉の規制に関する法律」(原子炉等規制法)に基づき、試験研究用原子炉(発電の用に供するもの以外の研究開発段階炉を含む、以下同じ)および研究開発段階炉(研究開発段階にある発電の用に供する原子炉施設、以下同じ)の設置者から提出された平成17年度(2005年度)の「放射線管理等報告書」等から、放射線業務従事者の線量について実績をまとめた。
 平成18年に原子力安全委員会ホームページに掲載された原子力安全データ集の「4.平成17年度放射線業務従事者の線量当量」によれば、平成17年度の放射線業務従事者個人が受けた線量は、ここで対象とするすべての原子力施設において法令に定める線量限度(5年間につき100ミリシーベルトおよび1年間につき50ミリシーベルト)を下回っている。
1.試験研究用原子炉
 平成16年度における放射線業務従事者数4472人に対して、17年度は4271人であり、総線量は16年度175人ミリシーベルトに対して、196人ミリシーベルトであった。放射線業務従事者1人あたりの平均線量は16年度に比べてやや増加したが、引き続き0.0ミリシーベルト(0.05ミリシーベルト未満)であった。
 表1に試験研究用原子炉(発電の用に供するもの以外の研究開発段階炉を含む)における放射線業務従事者の人数、総線量、平均線量の実績を、事業所別に示した。なお、日本原子力研究所と核燃料サイクル機構は平成17年10月1日に統合し、独立行政法人日本原子力研究開発機構となったが、この表では旧組織名をそのまま使用している。
2.研究開発段階炉
 研究開発段階炉(ふげん発電所ともんじゅ)における放射線業務従事者の人数、総線量、平均線量の実績を表2にまとめた。これらの原子炉施設における放射線業務従事者数は平成16年度の1499人から17年度には1890人に増加した。一方、放射線業務従事者の総線量は16年度の0.37人シーベルトから17年度には0.16人シーベルトに、また、放射線業務従事者1人あたりの平均線量は16年度の0.2ミリシーベルトから17年度には0.1ミリシーベルトにそれぞれ減少した。この2つの施設のうち、ふげん発電所では平成12年度以来、総線量が減少しているが、平成14年度(15年3月)に運転終了して以降は急速に減少し、平成14年度、15年度、16年度、17年度の総線量はそれぞれ1.12、0.46、0.37、0.16人シーベルトであった。また、従事者の平均線量も同様に減少してきている。
3.まとめ
 試験研究用原子炉および研究開発段階炉における平成17年度の放射線業務従事者数(人)、総線量(人ミリシーベルト)および平均線量を表3にまとめた。上記のとおり、ふげんの運転を終了した平成14年度以降、研究開発段階炉における放射線業務従事者の総線量が急速に減少してきており、17年度には試験研究用原子炉の総線量を下回る水準まで減少した。
<図/表>
表1 平成17年度放射線業務従事者の線量(試験研究用原子炉および研究開発段階炉(発電の用に供するものを除く))
表1  平成17年度放射線業務従事者の線量(試験研究用原子炉および研究開発段階炉(発電の用に供するものを除く))
表2 平成17年度研究開発段階にある発電の用に供する原子炉施設における放射線業務従事者の線量分布
表2  平成17年度研究開発段階にある発電の用に供する原子炉施設における放射線業務従事者の線量分布
表3 平成17年度放射線業務従事者の線量(試験研究用原子炉および研究開発段階炉)
表3  平成17年度放射線業務従事者の線量(試験研究用原子炉および研究開発段階炉)

<関連タイトル>
日本の試験研究炉等における放射線業務従事者被ばく管理状況の推移(2005年度まで) (03-04-07-01)
放射線影響協会・放射線従事者中央登録センター (13-02-01-26)

<参考文献>
(1)原子力安全委員会(編):平成18年版 原子力安全白書、佐伯印刷(2007年7月25日)
(2)原子力安全委員会ホームページ:「原子力安全データ集」(4.平成17年度放射線業務従事者の線量当量)
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