<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> 世界のエネルギー情勢
<小項目> 世界の原子力発電
<タイトル>
21世紀の原子力発電国際閣僚会議(パリ) (01-07-05-12)

<概要>
 21世紀の原子力発電に関する国際会議が2005年3月21日、パリで開催された。会議の目的は、原子力の役割をレビューし、世界の増大するエネルギー需要に応じて、原子力発電を拡大することが齎す利益を定義し、世界の専門家と意思決定者を巻き込んで、原子力エネルギーと社会の問題に関する議論を進めることであった。大勢を占めた意見は、原子力発電は大気汚染または温室効果ガス排出物を発生せず、供給の保証と、エネルギー価格の安定に貢献する。原子力発電はエネルギー需要に応え、かつ21世紀の世界の発展を支え得る主要電源であることを肯定した。また、飲料水と水素の生産によって貢献をすることもできる。しかし、原子力発電が成功するためには、核兵器の拡散防止を実施し、各国は原子力安全に十分な優先順位を与えなければならない。
<更新年月>
2005年07月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 21世紀の原子力発電に関する国際会議が2005年3月21日、パリで、74カ国と10の国際機関からの大臣、高級職員及び専門家の出席を得て、開催された。この会議は、経済協力開発機構(Economic Cooperation and Development: OECD)及び原子力機関(Nuclear Energy Agency: NEA)の協力を得て国際原子力機関(International Atomic Energy Agency: IAEA)によって組織され、フランス政府によって主催されたものである。
1.会議の目的
 会議の戦略的な目的は次の通りである:
 原子力の役割をレビューすること、世界の増大するエネルギー需要に応じて、原子力発電を拡大することが齎す潜在的な利益(エネルギー保障、持続可能性及び環境保全の改善)を定義すること、および、世界の専門家と意思決定者の参加により、原子力エネルギーと社会の問題に関する議論を進めること。
2. 会議の範囲と重要な問題
 会議は、原子力エネルギーの将来の役割を議論するための場を提供し、多くの関心のある政府と団体が原子力エネルギーの将来を提示して、議論することができるようにする。上級の政府閣僚は、原子力の必要と将来に関する彼らの政府の見解を提示する。会議は、また、重要な問題を議論するために次のような分科会を開く:世界のエネルギー需要と資源、 21世紀の環境問題への挑戦、戦略と選択の駆動因子、政府の問題。これらの問題は、国際的に認められた講演者によって提起され、専門家のパネルと会議参加者による議論の時間を用意する。
3. 閉会宣言の概要
 この会議の目的は原子力発電に関する将来の政策を議論すること、特に、社会的な関心と期待を考慮しつつ、21世紀のエネルギー需要に応えるという潜在的な寄与を検証し、分析することであった。多くの見解が発表され、会議を通して深く議論がなされた。参加者の見解の大勢を占める結論は、以下のようである:
− 各国は、その国際的な義務に従ってその国のエネルギー政策を自由に決めることができる;
− エネルギーを入手できることとそれへのアクセスは、人類発展にとって不可欠である;
− 大気汚染を減らして、世界的な気候変化の危険に対処する活動を含めて、この惑星の環境の健全性は、全ての政府にとって優先事項として考えられるべき重大な問題である;
− 21世紀には、エネルギー源の多様な施策が、世界の全ての地域で持続可能なエネルギーと電源へのアクセスが許されるために必要である。
− 大気汚染と温室効果ガス排出を制限する一方で、エネルギー効率を改善する努力が必要である。
広範囲にわたる種々の見解は以下のようである:
− 原子力発電は、大気汚染または温室効果ガス排出物を発生しない;
− 原子力発電は、様々な状況の下、個人、企業と社会に対して、他の電源からの平均エネルギー価格と比較して競合できる価格の電気を提供し、経済競争に貢献する実証された技術である;
− 原子力発電は、供給の保証と、そして、化石燃料価格の変動の影響を減少させて、エネルギー価格の安定に貢献する;
− 原子力発電は、また、飲料水と水素の生産によって、価値ある貢献をすることができる。
この文脈において、参加者の大多数は、大多数の先進国と発展途上国にとって、原子力発電はエネルギー需要に応え、かつ21世紀の世界の発展を支えるることができる主要電源であることを肯定した。
 しかし、原子力発電が成功するためには以下の条件が必要であることが認められた:
− 各国は、国際的な平和と安全保障に対する脅威である核兵器の拡散防止を実施しなければならない。国際法に従って原子力エネルギーと関連技術の平和利用に関する協力から利益を得るためには、各国は、国際的核不拡散目標に適合するIAEA保証措置と不拡散という目的を含む、彼らの責任と国際的な義務、核物質、装置の物的防護及び輸出管理に対する基準の適用を、厳しく実行しなくてはならない。機微な核物質、装置及び拡散の可能性ある技術(例えば濃縮、再処理)に関して特別な警戒がなされなければならない、すなわち、兵器の目的に使おうとするかもしれない国に、それは輸出されてはならない;
− 最高の原子力安全水準を維持するために、原子力発電を持つ、または開発する全ての国は、原子力安全の強化に関する国際協力の重要性を考慮して、原子力安全に十分な優先順位を与えなければならない;
− 各国は、核物質と施設の最高水準の安全確保を確実にするために必要な手配をしなくてはならない;
− 使用済み燃料と放射性廃棄物の安全な管理に関しては解答がある。高レベル廃棄物、長寿命低・中レベル廃棄物の研究開発−現在進行中−からの技術的解答は、市民の期待と心配に対処する進歩的な国家的プロセスの枠組みで、実施されなければならない。各国は、核燃料の管理と処分に対して適切なオプションが用意され、原子力を使うことが将来の世代のために過度の重荷または危険をつくらないことを保証しなければなという義務と責任を持っている。;
− 国際的な研究開発プログラムは、経済、安全、廃棄物管理と不拡散に関してより多くの利益を提供する目的を持って、革新的な原子力システムの開発を行っている。それらは、持続可能な発展の基準に対応して方向付けられねばならない。そして、各国の事情に応じて、社会のニーズと関心に対する解答を提供しなければならない。IAEAは、平和目的のための原子力エネルギーの開発と利用を容易にし、平和利用を保証し、各国の高水準の安全と安全保証の維持を支援し、原子力エネルギーに関する国際協力を涵養し、公衆への情報を発信することに重要な役割を持っている。OECD/NEAも、客観的分析を提供することによって原子力エネルギーに関して重要な役割を演じている。
<関連タイトル>
原子力発電および核燃料サイクルに関するIAEAの活動 (13-01-01-15)
国際原子力機関(IAEA) (13-01-01-17)

<参考文献>
(1) 米原子力エネルギー協会 (NEI) http://www.nei.org/ >IAEA-OECD Conference of 74 Nations Affirms Nuclear Energy’s Contribution to Environmental Protection and Sustainable Development>Full story
(2)IAEA, http://www.iaea.org/ >News Center>Statements>DG 21032005, Preparing for the Future by IAEA Director General Dr. Mohamed ElBaradei,International Conference on Nuclear Power for the 21st Century21 March 2005 | Paris,France,
(3) International Conference on ” Nuclear Power for the 21st Century ”21-22 March 2005,Paris, France,> official web site in english
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