<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> 日本の新エネルギー
<小項目> 新エネルギー技術開発
<タイトル>
海外におけるコージェネレーションの利用状況 (01-05-02-17)

<概要>
 アメリカでは、1978年の公営事業規制政策法の制定を契機にコージェネレーション(コジェネレーション)の利用が増大し、1990年代半ばにはコージェネレーションが総発電設備の約6%を超え、総発電電力量の約9%を占めて現在に至っている。ドイツでは石油危機前には自家発電の約15%にまで低下していた普及率が、1990年代に入ってから環境面からの見直しで自家発電の約55%までに上昇した。イタリアでは1988年の国家エネルギー計画の策定、またイギリスでは1983年のエネルギー法改正を契機に、それぞれコージェネレーションの設置が進んだ。特にデンマークでは地域熱供給が高度に発達しており、1990年代初頭には全主要都市に熱電併給(CHP)が導入されている。
<更新年月>
2004年02月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.アメリカ
(1)コージェネレーションの普及状況
 カーター政権(民主党)下の1978年に公益事業規制政策法(Public Utilities Regulatory Policy Act:PURPA)が策定され、コージェネレーションの設置が進んだ。コージェネレーション発電設備容量は、2002年では約6140万kWであり、総発電設備の約6.8%を占めている。表1に米国のコジェネレーション発電の推移を示す。
 エジソン電気協会(EEI)の調査によると、1996年時点の普及状況は、非電気事業者の所有する発電設備は約6933万kWであり、過去3年間で約1000万kW増加し、アメリカ全体の総発電設備の約8.4%に高まっている。このうちコージェネレーション設備は約5329万kW、総発電設備の約7.7%を占めるに至っている。一つのコージェネレーション設備の平均規模は約1万kWであるが、南西中央部(テキサス・オクラホマなど)および東南中央部(ケンタッキー・テネシーなど)には大型設備が多く、この地域では平均規模が約2万5000kWとなっている。これに対し、北西中央部(ノースダコタ・ネブラスカなど)では小さい設備が多く、平均規模は約2000kW程度である。一方、発電電力量については、1996年末において非電気事業者によるものが約4002億kWh、総発電電力量(34,733.7億kWh)の約11.5%を占めている。このうちコージェネレーション設備による発電電力量は約3202.9億kWhであり、総発電電力量の約9%に相当する。1995年のデータによると、燃料別普及状況は、天然ガス:30,961MW、石油:1539MW、石炭:9366MW、バイオマス:5759MW、廃棄物:2818MW、その他:151MW、合計50,594MW(1995年)となっている。普及目標として100,000MW(2010年)が掲げられている。
(2)コージェネレーション推進施策
 1978年の公益事業規制政策法の他に主な推進施策として、1988年に連邦エネルギー規制委員会(FERC:Federal Energy Regulatory Commission)から提案された、電気事業に大幅な競争を導入する規制制定案がある。
 余剰電力の買い取りに関しては、公益事業規制政策法において、電気事業者が非電気事業者の余剰電力を買い取る方針を明確に打ち出した。同法第210条は、電気事業者が認定設備であるコージェネレーション設備や小規模発電設備に対し、電気を販売したり購入することを義務づけている。政府施設への積極的導入が考えられている。
2.ドイツ
(1)コージェネレーションの普及状況
 ドイツではコージェネレーションが100年前から行われており、かつては自家発電の50%を占めていたが、石油危機前には約15%にまで低下した。この背景には経済性の悪化などがあげられるが、最大の要因は電力・ガス事業の力が強すぎたことがあげられる。しかし、1990年代に入って環境面から再びコージェネレーションが見直されている。産業界の自家発電はその半分以上が熱電併給型であり、熱は主としてプロセス用の蒸気として利用されているが、発生熱量の約10%は熱供給事業者に販売されている。この産業用自家発電のうち約860万kW(全自家発の約55%)がコージェネレーションである。
(2)コージェネレーション推進施策
 コージェネレーション普及率低下の原因を分析し、その阻害要因を取り除くという方針の下、経済面、法制的面、技術面、財政面から普及促進がなされている。
 余剰電力の買い取りに関しては、コージェネレーションから電気事業者への売電料金についてドイツ産業連盟(BDI)・ドイツ自家発連合(VIK)・ドイツ電気事業連合(VDEW)の三者の間に話合いがもたれ、1979年になって「公益電気事業者と自家発電との間の強化原則」という協定が成立した。この結果、1983年の法令において売電料金については、アメリカなみの回避可能フルコストで合意しなければならないと決まった。
3.イタリア
(1)コージェネレーションの普及状況
 電力需要の70%以上を自家発電で賄うような大容量の発電設備を持つ工場などには、自家発電を認めていたが、いずれも商工省の許可を受けたもので、国有電力公社(ENEL)の管理下におかれていた。1960年代には、石油化学などの産業用コージェネレーションが設置されたが、1965年頃から原子力発電の稼働で電力コストが下がり、コージェネレーションの新設は中断された。しかし、チェルノブイリ原発事故後に、国民投票で原子力発電の新設停止が決定してから、再びコージェネレーションの設置が増加している。
(2)コージェネレーション推進施策
 1989年7月、価格に関するイタリア閣僚間委員会(CIP)により新しい価格決定システム(CIP15/1989)が承認され、事業者外発電(NUG)が再生可能エネルギー(水力・風カ・地熱・太陽・潮力)や、それに近いエネルギー源(コージェネレーション)を用いて発電した電力をENELに販売する価格を再設定した。1990年の政令(CIP34/1990)では、これらの価格がさらにインセンティブ(販売促進)を与えられるように改定されている。また、最近、改造や再開が予定されている旧来の発電設備や新規の発電設備からENELへの電力販売に関して新たな契約が結ばれた。
 1988年の国家エネルギー計画(PEN:Piano Enengetico Nazionale)にともなう、特別法制定プログラムの承認手続きが早められた。それに伴い、1989年、イタリア政府は再生可能エネルギー源やコージェネレーションを用いて発電されENELの送電網に販売される電力については、インセンティブを与えるような料金を設定した。
 余剰電力の買い取りについては、1989年8月、政府はさらに規制を強め、自家発電者は第三者に電力を販売することも、第三者に電力を供給するために公共送電網を使うことも許されなくなった。つまり、ENELの電力の輸送および交換サービスを通じてしか、自家発電者は自らの工場とともに子会社や系列会社向けに電力を供給できなくなった。これは、コージェネレーションに対しては有利な面が大きい。バイオマスや固形廃棄物を用いたコージェネレーション発電の場合には、コストに関する記録資料をあらかじめ政府委員会に提出すると、さらにインセンティブを与えられた料金の適用を受けることができるようになっている。
4.イギリス
(1)コージェネレーションの普及状況
 1990年代初頭には600件以上のコージェネレーションが設置されている。1989年時点での設置件数は合計520件、総発電容量は約200万kWであり、年間発電量は約90億kWhでイギリスの総電力需要の約3%に相当する。1997年には設備容量で373万kW、5.2%、発電電力量は、195億kWhで5.6%のシェア、2000年には約400万kWになると予想されている。1997年時点での設備容量内訳は、コンバインドサイクル:1075MW、蒸気タービン型(背圧):1250MW、蒸気タービン型(抽気復水):86MW、ガスタービン:913MW、ガスエンジン:408MWである。燃料は天然ガス(53%)、石炭(15%)、石油(13%)バイオマス等(2%)、その他(17%)となっている。
(2)コージェネレーション推進施策
 1983年にエネルギー法が改正され、コージェネレーションの推進策がとられるようになった。イギリス政府は、地方税法・環境法・電気法などの法律や規制を作るに際しても、各企業がコージェネレーションを導入する妨げにならないように努めている。
 余剰電力の買い取りに関しては、1983年のエネルギー法によって、民間の自家発電設備設置者がその地域の電力会社に対し、電力の供給・購入・託送を希望した場合、電力会社はこれに応えなければならないという義務が明文化された。しかし、現実には中央発電局(CEGB:Central Electricity Generating Board)が過大な発電設備を所有し、新規発電事業者からの買い取り価格とされる限界価格を非常に低く抑えこんできたことにより、新規参入を妨げる結果となった。電力の民営化後、米国の独立系発電会社が発電所を建設して売電する計画を申し出たり、電力会社が別の子会社を作ってコージェネレーションを行おうとする例が多い。また、バイオガス・藁などの農産物、下水、ゴミ埋立地からのガスなどの再生可能エネルギーと燃焼技術を組み合わせてコージェネレーションを行う技術開発にも積極的である。
5.デンマーク
(1)コージェネレーションの普及状況
 デンマークでは地域熱供給が高度に発達しており、火力発電所815万kWのうち250万kW(32基)が熱電併給(CHP:Combined Heat and Power)であり、1988年時点で熱電併給プラントの地域暖房に占める割合は55%、暖房全体に占める割合は22%となった。全主要都市にはすでにCHPが導入されているが、地方小都市の地域熱供給設備に小型CHPを順次採用していくのが次のステップである。
 また、産業用や熱需要の多い病院などの公共施設にも小型CHPが導入されつつある。産業用CHPは1990年代初頭には計16万kWの実績があり、そのほとんどが石炭・石油の混合使用である。1986−1990年の5年間をとってみると、合計42基(ガスエンジン23、ガスタービン7、コンバインドサイクル1、スチームタービン11)、27.5万kWのコージェネレーションが計画され、そのうち11万kWが運転可能状態にある。さらに1990−1998年の間には、合計201基、165万kWのコージェネレーションが計画されている。表2にその内訳を示す。
(2)コージェネレーション推進施策
 1979年以来デンマーク政府は地域熱供給を促進するため、税制上の優遇策をはじめとして種々の助成策をとってきた。たとえば、藁・木片・バイオガスのようなエネルギー源を使用した新しい地域熱供給設備に対する15%の補助金などである。これらの優遇策により、1979年初めには地域熱供給からの熱の供給量は建物の全熱需要量の約25%であったが、1988年には約40%までに上がった。
 余剰電力の買い取りに関しては、デンマークでは低圧による電力会社との系統連系(逆潮流あり)がすでに実施されており、民間の自家発電者から買い取らなければならない義務がある。実際、ピークロードをカバーするため、大手電力会社は地方の独立系発電業者から買い取っている。
<図/表>
表1 米国のコジェネレーション発電の推移
表2 デンマークのコージェネレーション計画(1990年〜1998年)

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<関連タイトル>
コージェネレーション技術(原理) (01-05-02-15)

<参考文献>
(1)通商産業省資源エネルギー庁省エネルギー石油代替エネルギー対策課(編):新エネルギー便覧 平成8年度版、通商産業調査会出版部(1996年3月31日)
(2)資源エネルギー庁公益事業部(監修)、日本コージェネレーション研究会(編集協力):コージェネレーションの現状と将来、通産資料調査会(1993年6月26日)
(3)通商産業省(編):エネルギー2000、電力新報社(1999年10月10日)
(4)海外電力調査会(編集発行):海外諸国の電気事業 第1編 1998年(1998年3月)
(5)Energy Information Administration:electricity、http://www.eia.doe.gov/electricity
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