<大項目> 海外情勢
<中項目> オセアニア各国
<小項目> オーストラリア
<タイトル>
オーストラリアの国情、資源およびエネルギー政策 (14-03-01-01)

<概要>
 オーストラリアは、石炭、石油、天然ガス、ウラン等の天然資源に大変恵まれており、大陸の東側のグレートディバイディング山脈では石炭が、大陸の北西では鉄鉱石が、西部では金が産出する。大陸北部ではボーキサイトやウランが産出し、世界有数のボーキサイト・ウラン輸出国になっている。
 オーストラリアは、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で数少ないエネルギー資源輸出国の1つである。1983年に労働党政権の三鉱山政策により輸出が厳しく制限されたが、1995年の総選挙で自由党と国民党の連合政権が大勝したことから、三鉱山政策が廃止され、ウラン鉱山開発が再開した。
 オーストラリアの経済は2007年まで堅調に発展してきたが、2008年の世界的経済の減速、国際金融市場の混乱等から減速傾向で推移し、資源価格の下落により国内企業が打撃を受ける中、中国企業のオーストラリアへの進出が活発化している。
<更新年月>
2011年12月   

<本文>
1.国情
 オーストラリアはオセアニアに位置し、オーストラリア大陸とタスマニア島及び、周辺の小さな島で構成され、起伏が小さく、低い大地が一面に広がる。面積は769万2,024km2、日本の約20倍、アラスカを除く米国とほぼ匹敵し、ロシア、カナダ、中国、アメリカ、ブラジルに次ぐ世界6番目の広さを有する。
 オーストラリアは、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で数少ないエネルギー資源輸出国の1つである。天然資源に大変恵まれ、事実1970年代半ばまでは憂いなき資源国の名をほしいままにしていたが、1970年代後半に入るとオーストラリア・ドルの急落が続き、資源貿易国の屋台骨が揺らぎだした。
 1983年3月、国民の期待を担って登場した労働党のホーク政権下のキーティング蔵相は、金融自由化、財政再建など、経済・財政運営に手腕を発揮する一方、アジア・太平洋地域の国々と経済、政治関係を強めようとした。長引く不況や雇用情勢の一層の悪化など、状況は好転せず、キーティングが首相を継いだ。労働党によるウラン資源開発は、天然資源の価値の維持、環境保全、先住民の権利の維持のため、「三鉱山政策;(ナバレク(Nabarlek)、レンジャー(Ranger)、オリンピック・ダム(Olympic Dam)の3鉱山)」により開発が厳しく制限された。世界第1位のウラン資源保有国であるオーストラリアは、この「三鉱山政策」のため、世界市場においてウラン輸出のチャンスを大きく制約され、カナダその他のウラン生産国に販売のシェアを奪われる結果となった。
 1996年3月、自由党・国民党の連立政権が総選挙で勝利した結果、「三鉱山政策」が見直され、新規開発への規制が12年ぶりに撤廃された。これまで労働党政権によってウラン開発を押さえられていたレンジャー(Ranger)鉱床とクーンガラ(Koongarra)鉱山(北部準州)、キンタイヤー(Kintyre)鉱床(西オーストラリア州)などが開発に向けて動き出した。
 なお、オーストラリア経済は2007年まで堅調に発展してきたが、2008年の世界的経済の減速、国際金融市場の混乱等の影響で減速傾向に推移し、同年10-12月期には、前期比で−0.5%と8年ぶりのマイナス成長を記録した。また、輸出資源価格の下落により国内企業が打撃を受けるなか、中国のオーストラリアへの進出が活発化している。中国政府や鉱山会社のオーストラリア国内での鉱山開発や投資も頻繁に行われ、鉄鉱石鉱山Hamersley(ハマスレー)や亜鉛鉱山Century(センチュリー)など主要鉱山に資本参加する動きが見られる。ウランに関しては、2006年4月より中国とオーストラリアは数年間の協議を経て、原子力移転協定(Nuclear Transfer Agreement)及び原子力協力協定(Nuclear Cooperation Agreement)に署名したことで、中国への輸出が可能となった。
2.資源
 オーストラリアのエネルギー資源のうち、2010年の石油確認埋蔵量は41億バレルと世界的に見るとかなり小規模である。天然ガス確認埋蔵量は29,000億m3で石油に比べれば大きいが、世界全体のシェアは1.6%にすぎない。石炭確認埋蔵量はかなり大規模で、764億トン、世界全体のシェアの8.9%、米国、ロシア、中国についで第4位となっている。ウランの確認埋蔵量は2009年時点1,673,000トン、世界全体のシェアの31%と世界第1位であり、第2位のカザフスタン(12%)及び第3位のカナダ(9%)を大きく引き離した。このウラン資源量は、世界最大のウラン鉱床オリンピック・ダム(南オーストラリア州)とレンジャー(北部準州)、フォーマイル(Four Mile、南オーストラリア州)の各鉱床で追加資源が発見されたため、2007年と比較すると33%上回るものであった。
 2009-2010年における一次エネルギー生産量は17,282PJであり、そのうち輸出は13,710PJ、総生産量の65.6%に相当し、純輸出国であるが、石油・LNGについては輸出・輸入がほぼバランスしている。また、オーストラリアにおけるエネルギー消費は全体として着実に増加している。特に天然ガス及び水力等、再生エネルギーの増加が著しく、天然ガスの消費量は5年で4.7%増加している。2009-2010年のエネルギー消費の構成は、石油34.6%、天然ガス23.1%、石炭37.5%、再生可能エネルギー4.8%であり、オーストラリアの石炭シェアは先進国としては比較的に高めである。
 図1にエネルギー資源確認埋蔵量の推移を、図2にエネルギー資源の年間生産量の推移を、図3に一次エネルギー消費量の推移を、図4にオーストラリアのエネルギー資源輸出量の推移を示す。
2.1 石炭
 2010年における石炭生産量は、235.4百万トンで、2009年より2.9%増加した。2010年の生産量は2000年の約1.4倍に増加しており、世界の石炭生産量(3731.4百万トン)の6.3%を産出し、中国、米国、インドに次いで世界第4位である。オーストラリアの石炭は硫黄分が低いのが特徴で、ほとんどクイーンズランド州(Queensland)のBowen Basin(ボーエン盆地)及びニューサウスウェールズ州(New South Wales)のHunter Valley Coal Chain(ハンター・バレー)で産出する(図5参照)。石炭の輸出量は1986年以降世界第1位にランクし、世界の輸出量の約3分の1を占め、オーストラリアの主力輸出収入源となっている。従来、連邦政府が輸出規制権限を、州政府が鉱区規制制限を持っていたが、市場自由化の動きを得て、1997年8月に輸出許可撤廃案が議会で採択され、ウランを除く鉱物資源は連邦政府の許可なしで輸出することが可能となった。2009-2010年の輸出国先は日本が49.2%で、以下韓国、台湾と続く。
2.2 石油
 2010年における石油生産量(液化天然ガスを含む)は23.8百万トンで、近年の石油生産量は安定している。オーストラリア全体の生産量の約90%は、ビクトリア(Victoria)州のウィルソン岬東部沖合(ギプスランド(Gippsland)海盆)、西オーストラリア(Western Australia)州の北西岬からダンピアまでの沖合(North West Shelf:カルナボン(Carnarvon)海盆)、及び北部準州と西オーストラリア州の境界の沖合(Timor Sea Area:ボナパルト(Bonaparte)海盆)で産出する(図5参照)。将来、交通部門での消費が伸びるため総石油消費量も伸びると予想される。
2.3 天然ガス
 オーストラリアの天然ガス市場は1970年代以降成長を続けており、TPES(総一次エネルギー供給量)の約23%に達する。国内可採埋蔵量の55%を誇るカーナボン海域(西オーストラリア州)のほか、クイーンズランド州と南オーストラリア州に跨るクーパー・イロマンゴ(Cooper/Eromanga)盆地、ジップスランド海域(ビクトリア州)などで産出する。生産量の30%強がLNGとして日本、中国、韓国などアジア・太平洋地区へ輸出されている。
2.4 ウラン
 2008年の生産量の順位をみると、世界第1位はカザフスタンで17,803tU、第2位がカナダで9,783tU、第3位がオーストラリアで5,951tU、第4位はナミビアで4,496tU、第5位はニジェールで4,198tU、第6位はロシアで3,562tU、第7位はウズベキスタンで2,400tUであり、上位7ヶ国で世界のウラン生産量(53,663tU)の約89.7%を占める。現在操業中の鉱山は、レンジャー(北部準州ダーウィン(Darwin)の東230km)、オリンピック・ダム(南オーストラリア州のアデレード(Adelaide)の北北西560km)、ビバリー(南オーストラリア州のアデレード(Adelaide)の北520km)の3鉱山である。
 オーストラリアにおけるウラン資源開発は、1983年に政権の座についた労働党による「三鉱山政策」により、開発政策が厳しく制限された。しかし、1996年3月、新しく政権の座に着いた自由党・国民党連合は、原子力発電によるウラン需要の増加やウラン価格高騰による国益重視の観点から、核不拡散防止条約や核物質防護条約等の国際協力を厳しく履行することを前提に、新規ウラン鉱山の開発とウラン輸出を認めた。ただし、実際のウラン鉱山開発許可の権限は州政府にある。現在探鉱・採掘が共に認められているのは、操業鉱山のある南オーストラリア州と北部準州だけで、ウラン鉱床が確認されている西オーストラリア州(2008年に撤廃)とクイーンズランド州は、政策上ウランの採掘を禁止している。また、ビクトリア州とニューサウスウェールズ州は法律でウランの探鉱・採掘を禁止している。
 なお、オーストラリアは世界第1位の確認ウラン埋蔵量をもつが、原子力発電所はないため、全量輸出されている。輸出先は、英国、フランス、ドイツ、スペイン、スウェーデン、フィンランド、ベルギーなどのEU諸国(30.8%)、米国(34.5%)、日本(23.0%)、台湾(4.2%)、中国(2.9%)、韓国(2.0%)等である(図6参照)。
3.エネルギー政策
 1988年、連邦政府は「エネルギー2000年」と題する国家エネルギー政策を発表した。その中で、1)エネルギー供給における総合的な安全保障、2)エネルギー部門における輸出の促進、3)エネルギー部門における効率の推進、を目標に定めた。この政策は、現在もオーストラリアのエネルギー政策の骨格となっている。
 オーストラリアでは、安価な国産エネルギーを背景にエネルギー多消費型産業が発達し、石炭を中心とした化石燃料発電に大きく依存している。比較的CO2排出量は大きく、地球温暖化対策への対応から石炭消費を抑制する方向にある。一次エネルギーの消費から計算した2009年の炭酸ガスの排出総量はIEA諸国の中で14位 394.9百万トンであるが、1人当たりの排出量は米国をぬいて第1位17.87トン/人となっている(米国の排出量:5195百万トン、16.90トン/人)。オーストラリアは1992年12月に気候変動枠組条約に署名、2007年12月には京都議定書を批准している。2050年までにCO2排出量を2000年レベルの60%に削減する目標を立て、2011年11月には炭素税を実施、国内排出量取引制度の導入も計画している。政府は、クリーン・エネルギー計画を策定し、再生可能エネルギーやクリーンコール技術の開発を進め、2020年までに電力供給量の20%を再生可能資源から調達する意向である。
(前回更新:2004年9月)
<図/表>
図1 オーストラリアのエネルギー資源埋蔵量の推移
図2 オーストラリアのエネルギー生産量の推移
図3 一次エネルギー消費量の推移
図4 オーストラリアのエネルギー資源輸出量の推移
図5 オーストラリアの天然資源(石炭、石油、天然ガス、ウラン)配置図
図6 オーストラリアのウラン輸出状況

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
世界のウラン資源量と需給予測(レッドブック2003) (04-02-01-07)
オーストラリアのウラン鉱山 (04-03-01-07)
シンロック (05-01-04-03)
日豪原子力協定 (13-04-02-05)

<参考文献>
(1)日本原子力産業会議:原子力年鑑2011年版(2000年10月)、p.171-172
(2)海外電力調査会:海外諸国の電気事業2008年 第1編(2008年10月)、p.735-777
(3)国際エネルギー機関(IEA):Key World Energy Statistics 2011(2011年10月)
(4)オーストラリア農業・資源経済・科学省:EnergyUpdate_2011_REPORT、
及び
(5)オーストラリア資源・エネルギー・旅行省:Energy in Australia 2011、
、Energy in Australia 2010 及び Energy in Australia 2008、

(6)BP ENERGY WORLD統計:
(7)世界原子力協会(WNA):World Uranium Mining(2011年11月)、
http://www.world-nuclear.org/info/inf23.html 及び http://www.world-nuclear.org/info/inf48.html
(8)OECD・NEA/IAEA:Uranium 2009 Resources, Production and Demand, OECD(2010年7月)http://www.oecd-nea.org/ndd/reports/2011/uranium-2009-japanese.pdf
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