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<概要>
 独立行政法人理化学研究所は同研究所法により設置され、科学技術に関する試験研究を総合的に行い、かつその成果を普及することを目的としている。理化学研究所は、1917年に財団法人理化学研究所として創設され、1958年に、科学技術庁(現・文部科学省)所管の特殊法人として再発足し、2003年10月に文部科学省所管の独立行政法人理化学研究所として再発足した。現在、和光のほか、つくば、播磨、横浜、神戸に研究所(事業所)を設置している。それぞれの研究所は、固有の研究テーマを持ち、最先端の科学技術を駆使して、物理学、工学、化学、生物学、医科学などの分野で総合的な研究活動を推進している。
<更新年月>
2008年12月   

<本文>
1.はじめに
 独立行政法人理化学研究所(理研)は、独立行政法人理化学研究所法により科学技術(人文科学のみに係るものを除く。)に関する試験及び研究等の業務を総合的に行うことにより、科学技術の水準の向上を図ることを目的とし、日本で唯一の自然科学の総合研究所として、物理学、工学、化学、生物学、医科学などにおよぶ広い分野で研究を進めている。
 当研究所は、1917年(大正6年に財団法人理化学研究所として創設された。戦後、株式会社「科学研究所」、特殊法人時代を経て、2003年(平成15年)10月に文部科学省所管の独立行政法人理化学研究所として再発足した。
 研究成果を社会に普及させるため、大学や企業との連携による共同研究、受託研究等を実施しているほか、知的財産権等の産業界への技術移転を積極的に進めている。
 平成20年(2008年)4月1日現在で、人員約3200人(外来研究員等を除く)、予算980億円である。
 当研究所の組織を図1に示す。研究拠点を図2に示す。
2.研究センターの概要
2.1 本所
(1)知的財産戦略センター
 知的財産権の確保、活用および産学連携の研究制度を創設し、技術移転に積極的に取り組んでいる。
(2)次世代スーパーコンピュータ開発実施本部
 世界最高性能のスーパーコンピュータを2012年(平成24年)の完成を目指して開発し、全国の産学ユーザーに高度な利用環境を提供する。
(3)X線自由電子レーザー(XFEL計画推進本部)
 国家基幹技術である人類未踏の光、X線自由電子レーザー(XFEL)を生み出す施設の2010年(平成22年)度の完成を目指して開発及び建設を進めている。
2.2 和光研究所
(1)基幹研究所
 基幹研究所は、物理学、化学、工学、生物学、医科学などの全分野を網羅・鳥瞰し、新科学領域を開拓することによって科学と技術に飛躍的進歩をもたらす。
(2)脳科学総合研究センター
 「心と知性への挑戦」、「回路メカニズム」、「疾患メカニズム」、「先端基盤技術研究」の四つのコアを設定し、脳科学の総合的で融合的な研究に取り組んでいる。
(3)仁科加速器研究センター
 原子核とそれを構成する素粒子の実体を究明し、物質創成の謎に迫っている。
(4)次世代計算科学研究開発プログラム
 次世代スーパーコンピュータを使ってライフサイエンス分野に新風を巻き起こす研究開発に取り組んでいる。
2.3 筑波研究所
(1)バイオリソースセンター
 国内外の関係機関などと緊密な連携のもと、リソース収集・保存・提供事業、技術開発事業、バイオリソース技術研修並びに国際連携協力事業を行っている。
2.4 播磨研究所
(1)放射光科学総合研究センター
 SPring−8の放射光を利用したタンパク質構造解析や新しい領域を切り拓く物質科学研究を行っている。
2.5 横浜研究所
(1)植物科学研究センター
 植物科学研究の成果を人々の豊かな生活や健康の向上に役立てる。
(2)ゲノム医科学研究センター
 遺伝子の違いを知り、ひとりひとりに合った医療を生み出す。
(3)免疫・アレルギー科学総合研究センター
 免疫の原理に基づいた治療・予防法を開発し、国民の健康を守る。
(4)オミックス基盤研究領域
 生命の分子プログラムを解明し、わが国のライフサイエンス研究を加速する。
(5)生命分子システム基盤研究領域
 生命システムの解明から創薬シーズの提案まで、タンパク質等によるメカニズムの研究で実現する。
(6)生命情報基盤研究部門
 ライフサイエンス分野の情報を統合し、生命の統合的な理解を深める。
(7)感染症研究ネットワーク支援センター
 感染症に国境なし。世界と日本の安全・安心のために設置された新興・再興感染症研究拠点のネットワーク化、研究拠点の運営支援等様々な活動を行っている。
(8)ゲノム科学総合研究組織
 ゲノム科学に関係した多くの方々の緊密な連携を維持するため、新たにバーチャルな形でGenomic Sciences Research Complexを設立する。
2.6 神戸研究所
(1)発生・再生科学総合研究センター
 発生のメカニズムを解明するべく発生生物学の基礎研究を推進するとともに、細胞治療・組織再生などの応用に向けた研究を行っている。
(2)分子イメージング科学研究センター
 創薬候補物質探索研究拠点として、「分子プローブ(標識分子)設計」、「分子プローブ機能評価」、「分子プローブ動態」等の研究を行っている。
(前回更新:2004年5月)
<図/表>
図1 理化学研究所の組織
図1  理化学研究所の組織
図2 研究拠点
図2  研究拠点

<関連タイトル>
放射線利用と照射施設 (08-01-03-14)
SPring−8(大型放射光施設) (08-01-03-17)
SPring-8(放射光)施設による放射線利用 (08-04-01-07)
日本の主な原子力関連機関一覧 (13-02-02-01)

<参考文献>
(1)理化学研究所ホームページ:http://www.riken.jp/index_j.html
(2)理研案内パンフレット:http://www.riken.jp/r-world/info/release/pamphlet/index.html
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