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<概要>
 (財)原子力安全協会は、1964年に原子力の平和利用に貢献することを目的に設立され、原子力の安全性に関する課題研究、国、地方公共団体及び民間からの受託研究、共同研究、科学・技術情報の普及、学術資料の刊行、セミナーの開催等の事業を行っている。2011年に、公益財団法人原子力安全研究協会(以後、原安協と略称する)となった。近年の年間総収入は約10億円、国からの受託収入は約50%、賛助会費収入は約26%である。調査研究の成果は、原安協「原子力ワールドレポート&レビュー」、事業報告、委託研究報告書、自主研究報告書等で報告されており、その他、実務テキストシリーズ、原安協プライマー等の刊行物がある。
<更新年月>
2011年12月   

<本文>
1.目的、歴史と組織
 (財)原子力安全協会は、1964年(昭39)に原子力平和利用に貢献することを目的に設立された。設立以来、学識経験者や研究者の参加と学界や産業界の協力を得て、原子力の安全性に関する課題研究、国、地方公共団体及び民間からの受託研究、共同研究、科学・技術情報の普及、学術資料の刊行、セミナーの開催等の活動を行っている。
 2008年(平成20年)には、「処分システム安全研究所」を設置し、放射性廃棄物の処分に関し長期的で多岐にわたる要素を考慮し、より安全で合理的な処分システムを検討している。
 2011年(平成23年)に、協会の活動が学術及び科学・技術振興を目的とし、不特定多数の人の利益の増進に寄与していると認められ、公益財団法人 原子力安全研究協会(Nuclear Safety Research Association:NSRA)となった。
 図1に協会の組織を示す。理事会は理事長を含め7名、評議員8名、幹事2名、運営企画懇談会員51名、賛助会員は電力各社、化学工業、金属工業、研究所等の62法人、発行資料の購入会員は青森県原子力センターなど8市町である。
2. 資金と事業
 主に事業資金と事業活動の概要を述べる。
2.1 事業資金
 収入は主に会費収入、国などからの受託研究収入、セミナーなどの請負事業収入である。図2に、年度別に事業資金を示す。受託収入は、国、電力各社、研究所等から研究・調査の受託による収入である。2001〜2008年頃までは約7.5〜10億円の受託収入があったが、2009年以降は6億円まで下がっている。2011年度は6.25億円と予測されている。賛助会員会費は、電力各社、化学工業、金属工業等の賛助会員によるもので、年間約2.6億円で横ばい状態であり、2011年度は2.63億円と見込まれている。事業収入は、国などからセミナーの開催等の請負による収入であり、近年徐々に低下しているが2011年度は1.16億円と予測されている。2011年度の総収入は10.06億円と見込まれている。
 国からの受託収入は年度によって差異があるが近年は総収入の約50%を占めており、2009年度は5.47億円で総収入の51.6%であった(図2)。2003〜2011年までに文部科学省から受託した調査等では、「緊急時対策総合技術調査」や「緊急被ばく医療調査・研修」等の事故対応に関する調査・研修が継続している。
2.2 事業計画
 事業は、受託研究・調査を含む調査研究活動、技術及び情報の普及活動、行事及び刊行物に関する活動に分けられる。
(1)調査研究活動
 a) 緊急時対策、b) 放射性廃棄物、c) 放射線防護・影響、d) 国際基準、e) 原子力安全、f) 環境安全、g) 原子力施設の安全等に関する調査研究を進める。その概要を表1に示す。
(2)技術及び情報の普及活動
 原子力の安全に関する海外の動向を調査し、原安協「原子力ワールドレポート&レビュー」等を通じて情報を提供する。また、原子力の理解促進のため知識普及活動を行う。
(3)行事及び刊行物に関する活動
 調査研究の報告会、セミナー等を開催し、協会における調査研究の成果等を広く関係者、関係機関へ提供するとともに、他機関の関連諸事業に協力する。また、当協会の調査研究等の成果を各種報告書、定期刊行物等を通じて提供する。
3.事業の成果
 協会の事業は、受託契約や自主研究による研究調査、請負によるセミナーの開催等がある。
 表2に2008−2009年度の受託調査や受託研修の発注元と内容を示す。表3に2010年度(平成22年度)受託研究報告書、表4に2010−2011年度の自主研究報告書を示す。また、表5に平成21年度に開催したセミナー等を示す。
 調査研究の成果は、原安協だより、原安協「原子力ワールドレポート&レビュー」、事業報告、委託研究報告書、自主研究報告書、冊子などとして報告されている。そのほか、実務テキストシリーズ、原安協プライマー(手引書)等を含め多くの刊行物がある。
(前回更新:2008年12月)
<図/表>
表1 2008−2011年度(平成20−23年度)の研究課題
表1  2008−2011年度(平成20−23年度)の研究課題
表2 2008、2009年度の国からの受託調査などの事業
表2  2008、2009年度の国からの受託調査などの事業
表3 2010年度(平成22年度)受託研究報告書
表3  2010年度(平成22年度)受託研究報告書
表4 2010年度(平成22年度)自主研究報告書
表4  2010年度(平成22年度)自主研究報告書
表5 2009年度(平成21年度)のセミナーなど
表5  2009年度(平成21年度)のセミナーなど
図1 原子力安全研究協会の組織図
図1  原子力安全研究協会の組織図
図2 収入の年次変化(2001〜2011年)
図2  収入の年次変化(2001〜2011年)

<関連タイトル>
原子力安全技術センター (13-02-01-04)
日本原子力文化財団 (13-02-01-17)
放射線利用振興協会 (13-02-01-23)

<参考文献>
(1)原子力安全研究協会ホームページ、平成21年度事業報告、

(2)原子力安全研究協会ホームページ、業務と財務報告、事業報告と決算報告、
http://www.nsra.or.jp/nsra/gyou_zai/top.html
(3)原子力安全研究協会ホームページ、23年度事業計画、
http://www.nsra.or.jp/nsra/gyou_zai/H23/NSRA_H23_plan.html
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