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<概要>
 世界核燃料安全ネットワーク(INSAF:The International Network for Safety Assurance of Fuel Cycle Industries)は、世界中の核燃料サイクル事業者が、核燃料サイクル産業にとって安全こそが共通最重要な課題であると認識して安全文化を共有するとともに、さらに育成することを目的に2000年4月に設立され、トラブル・事故、法令・指針への対応、従業員の安全教育等の安全情報および社会的受容性に関する情報を、主としてインターネット上で行う活動をしている。現在、国内から6企業/機関、外国から6企業が参加している。
<更新年月>
2005年10月   

<本文>
1.設立の経緯
 1999年9月30日に茨城県東海村のウラン加工施設(株式会社ジェー・シー・オー)で発生した臨界事故が与えた世界への影響を鑑みて、世界の核燃料加工事業者が集まって安全情報を交換・共有する安全ネットワークを設立する気運が高まった。この流れを受けて、同年12月6日に核燃料加工および開発に関連する11企業/機関が東京で設立準備会合を開催し、核燃料サイクルに関係する企業・機関として、安全性向上に協力して取り組むことに合意し、2000年4月に8企業/機関でINSAFを設立した。
2.目的
 世界の核燃料サイクル産業に係る企業/機関が相互に安全についての情報交換および発信する場を、主としてインタネット上で提供し、安全文化の向上とその結果としての安全確保の向上に寄与することを目的としている。
3.組織・運営
 世界核燃料安全ネットワーク(INSAF:The International Network for Safety Assurance of Fuel Cycle Industries)は法人格を有していない任意団体であり、事務局を設置していない組織(図1)である。各会員(Member)の代表(Representative)が出席する総会(INSAF Meeting)、各会員から選任された運営委員で構成する運営委員会(Steering Committee)および運営委員会により設置を承認された部会(Working Group)で構成される。総会は年1回程度開催され、活動成果と次期活動計画の審議と承認、新部会設立や新会員入会等の承認を行う。運営委員会は部会と協力して情報交換活動とINSAF活動を円滑に進めるための支援業務を担う。部会は限定された分野の情報交換を主として行う。当面はウラン燃料の加工または開発を行っている企業/機関の会員が中核となって活動していくが、将来は燃料サイクル産業全体からの参加を視野にいれている。
4.会員
 INSAF設立の趣意に賛同した12企業/機関が現在の会員(表1)であり、新規の会員は、会員の推薦と残りの会員の同意で参加資格を得られる。
5.活動内容
 将来的には、燃料サイクル産業の広い分野を活動対象とすることを視野にいれているが、当面は燃料加工を対象にして活動している。
 また、原則として、安全に関連する情報だけを交換対象とし、商業機密に触れる情報は交換対象外としている。
 情報交換は、主としてインターネット上で行い、それに人の集まる会議を適切に組み合わせて行う。
 交換情報として、トラブル・事故、規制法令・審査指針の動向と被規制側の対応、安全管理の手法、安全教育プログラム、防災等に関する安全関連情報と広報等の社会的受容性に関連する情報を対象とするが、参加各会員から選任された運営委員で構成する運営委員会で参加会員の事情、会員の国の事情等を考慮して決める。
<図/表>
表1 INSAFの会員
表1  INSAFの会員
図1 INSAFの組織
図1  INSAFの組織

<参考文献>
(1)INSAFホームページ:http://www.insaf-net.org/jp/
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