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<概要>
 放射性廃棄物処理処分に係る基本的な考え方は、放射能レベルの高低や含まれる放射性物質の種類等により多種多様であり、この多様性を踏まえた適切な区分管理と区分に応じた合理的な処理処分を行うとともに、資源の有効利用の観点から再利用の検討も進め、規制除外・規制免除についても国際動向を踏まえ適切に対処する。放射性廃棄物の海洋投棄については、社会的、政治的な情勢等を勘案して行わない。なお、将来、情勢が大きく変化した場合は再検討も考慮する。事業活動等に伴って生じた放射性廃棄物は、各事業者等の責任による処理処分を基本とする。また、国は、処分方策の策定、処分の安全性確認に必要な法制度等の整備などを行い、最終的に安全が確保されるよう、所要の措置を講ずる責任がある。発電所廃棄物の処理処分については、電気事業者等の原子炉設置者に当該廃棄物の処分を適切かつ確実にに行う責任がある。本稿は原文を掲載する。
<更新年月>
1998年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
第3章 我が国の原子力開発利用の将来計画
7.バックエンド対策
(1) 放射性廃棄物の処理処分
1) 放射性廃棄物処理処分に係る基本的考え方
 放射性廃棄物は、放射能レベルの高低、含まれる放射性物質の種類等により多種多様です。このため、この多様性を十分踏まえた適切な区分管理と、区分に応じた合理的な処理処分を行うとともに、資源の有効利用の観点から再利用についての検討も進めることとし、これらに必要な研究開発を着実に進めるほか、規制除外・規制免除についても国際動向を踏まえ適切に対処することとします。また、低レベル放射性廃棄物も含め放射性廃棄物の海洋投棄については、社会的、政治的な情勢等を勘案してこれを行わないこととします。なお、将来、これらの情勢が大きく変化した場合は再検討も考慮することとします。
 事業活動等に伴って生じた放射性廃棄物の処理処分の責任については、各事業者等が自らの責任において処理処分することを基本とし、処分の責任を有する者は、その具体的実施計画を整備し、処分費用を負担するなど、処分を適切かつ確実に行う責務を果たすこととします。国は、処分方策を総合的に策定し、また、処分の安全性の確認を行うとともに、処分の責任を長期的に担保するために必要な法制度等を整備するなど、最終的に安全が確保されるよう、所要の措置を講ずる責任があります。
2) 発電所廃棄物の処理処分
 原子力発電所等において発生する低レベル放射性廃棄物(発電所廃棄物)については、電気事業者等原子炉設置者に、直接の廃棄物発生者として当該廃棄物の処分を適切かつ確実に行う責任があります。当該廃棄物のうち、放射能レベルの比較的低いものについては浅地中処分を進め、放射能レベルの比較的高いものについては、その発生の実態、関連する研究開発の進展状況等を考慮しながら、合理的な処理処分が安全に行われるよう引き続き検討を進めていくこととします。
<関連タイトル>
原子力開発利用の基本方針(平成6年原子力委員会) (10-01-03-03)
核燃料リサイクルの技術開発[その2](平成6年原子力委員会) (10-01-04-07)
核燃料リサイクルの技術開発[その3](平成6年原子力委員会) (10-01-04-08)

<参考文献>
(1)原子力委員会(編):21世紀の扉を拓く原子力 −原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画− 大蔵省印刷局(平成6年8月30日)
(2)原子力委員会(編):原子力白書 平成6年版 大蔵省印刷局(平成7年2月1日)
(3)日本原子力産業会議:原子力産業新聞 第1753号(1994年8月4日)
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