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<概要>
 ある元素の同位体の光吸収スペクトルに存在するわずかな差を同位体分離に用いることの可能性は、同位体が発見されて以来認められていたことである。この原理による光化学的同位体分離の最初のものは水銀の同位体分離であった。他の元素に適用されることなく、ウラン濃縮にも利用されてこなかった。しかし、近年レーザー光線の開発により、レーザー光を用いたウランの同位体分離の道が開けることになった。
<更新年月>
1998年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 光化学的分離法によるウラン濃縮は長い間実用化されなかった。光化学的同位体分離法で唯一実用化されたのは、水銀同位体による水銀電極間の火花からの光(188〜547ナノメートル)を用いて、水銀蒸気中の同じ同位体を励起して同時に反応させて酸化水銀を生成させる方法であった。しかし、ウラン濃縮に用いることの出来る光、即ちウラン同位体を光化学的に励起させる光が見出せなかった。よってレーザーを用いての分離が色々と研究され、ウラン濃縮に適したレーザー(二酸化炭素レーザー光線( 9300〜10800ナノメートル))が見出されるに及んで、現在のレーザー法によるウラン濃縮へ発展した。
<参考文献>
(1)M.Benedictほか(清瀬量平訳):ウラン濃縮の化学工学、日刊工業新聞(1985)
(2)火力原子力発電技術協会(編):原子燃料サイクルと廃棄物処理、火力原子力発電技術協会(昭和61年)
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