<大項目> 原子力発電
<中項目> 技術の改良・高度化
<小項目> 技術開発
<タイトル>
四国電力伊方発電所2号機の出力調整運転試験について (02-08-01-01)

<概要>
 四国電力は、発電用加圧水型原子炉PWR)を持つ電力会社との共通研究として、電力需要変動に備え出力調整(負荷変動)運転試験を伊方発電所2号機で昭和62年10月と63年2月の2回実施した。
 試験の結果は良好で、各種のデ-タは運転管理目標範囲内であり、50%出力まで下げた後100%に戻す12-3-6-3運転方法による出力50%から100%の範囲の出力調整(負荷変動)運転は実施可能であることが確認された。
<更新年月>
1998年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 電力は使用者側の都合によって使用量(負荷)が大きく変動するので、供給側が負荷に合わせて電気出力を調整しなければならないという宿命を持っている。
 我が国では、これまで原子力発電所が負荷の基底部分を受け持って定格出力一定の運転を続ける基底負荷運転を行い、負荷の変動にたいしては水力発電所や火力発電所が出力を変えてゆく負荷追従運転を行ってきた。
 本来、原子力発電所は出力の変動、すなわち出力を調整する運転ができるように設計されており、フランスでは既に実行されている。これまで一定出力で運転してきたのは、出力変動に伴う熱的変動によって燃料の被覆管にひびが入り気体状の放射性核分裂生成物(キセノン、ヨウ素等)が原子炉冷却水中に洩れてくる等の懸念があったからである。しかし、近年は被覆管の改良が行われるなどの対策がとられ、これらの懸念も解消されている。
 我が国においても、原子力発電の割合が増してくるに従い、電力供給調整の面や周波数制御の面から原子力発電所の出力も調整することが必要になる。
 このため、四国電力では、加圧水型原子力発電所(PWR)を持っている電力会社とメーカーとの共通研究として、伊方発電所2号機で出力調整運転の試験を(昭和62年10月と63年2月の2回)行った。
 この出力の調整方法では、100%出力で12時間一定運転した後3時間かけて50%まで出力を下げ、6時間一定運転した後再び3時間かけて100%出力に戻す「12-3-6-3運転」という、代表的な方法がとられた。
 試験の前には、コンピューターを使って予め解析を行い、各種のデータ(運転パラメーター)が運転のときに定められている範囲(運転管理目標)内に入ることを確認した。
 試験結果を 図1−1 および 図1−2 に示す。試験の結果は以下のように良好であった。
(1)電気出力
   電気出力は良く制御できた。
(2)主な運転パラメ−タ−
  ・ 原子炉出力と一次冷却水の平均温度は安定に制御できた。
  ・ 出力を下げるときも上げるときも炉心の上下方向の中性子束のバラつき(偏差)は運転管理目標の範囲内に十分収まっていた。
  ・ 原子炉(加圧器)圧力はほぼ一定で安定に維持された。
(3)燃料
   原子炉燃料に異常が生ずると原子炉冷却水中のヨウ素濃度が上昇するが、試験の前後に測ったヨウ素濃度には変化がなく、燃料の健全性が確認できた。
  試験の結果、運転パラメ−タ−は定められている管理範囲内に安定に制御されていることが確認され、また運転操作上も特に問題となることはなかった。
  このことから、現在の原発で「12-3-6-3運転」による出力調整運転は実施可能なことが確認できた。
<図/表>
図1−1 出力調整運転試験結果(原子炉出力、1次冷却材平均温度、制御棒位置)
図1−2 出力調整運転試験結果(ほう素濃度、軸方向中性子束偏差)

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<参考文献>
(1)原子力産業新聞 第1428号、p6(昭和63年〔1988] 3月10日)
(2)若林二郎他:「原子力発電所の負荷追従運転」、日本原子力学会誌 Vo.28、No.10 、p29 (1986)
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