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<概要>
 2005年3月29日に地球温暖化対策推進本部は「京都議定書目標達成計画(案)」を取りまとめた。同計画(案)では、地球温暖化対策の推進体制の整備の一環として、関係府省が協力して地域における取組をバックアップするため、地方公共団体等と連携して「地域エネルギー・温暖化対策推進会議」を設置することとされている。 これに基づき2005年3月31日、経済産業省と環境省は、北海道から沖縄までの9ブロックで「地域エネルギー・温暖化対策推進会議」を設置したことを公表した。 推進会議は、各地域において国の地方支分部局、域内の地方公共団体、エネルギー関係者、経済団体、消費者、都道府県地球温暖化防止活動推進センター、NGO等をメンバーとして、各地域におけるエネルギー・温暖化対策に関する情報交換・共有や、エネルギー需給構造に関する実態把握等を図り、地方公共団体を始め地域の地球温暖化対策に関する自主的な取り組みを促進するために設置される。
<更新年月>
2005年07月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 2005年3月31日、経済産業省と環境省は、北海道から沖縄までの9ブロックで「地域エネルギー・温暖化対策推進会議」を設置したことを公表した。 推進会議は、各地域において国の地方支分部局、域内の地方公共団体、エネルギー関係者、経済団体、消費者、都道府県地球温暖化防止活動推進センター、NGO等をメンバーとして、各地域におけるエネルギー・温暖化対策に関する情報交換・共有や、エネルギー需給構造に関する実態把握等を図り、地方公共団体を始め地域の地球温暖化対策に関する自主的な取り組みを促進するために設置されるものである。3月29日に地球温暖化対策推進本部において取りまとめられた「京都議定書目標達成計画(案)」の中で地球温暖化対策の推進体制の整備の一環として、関係府省が協力して地域における取組をバックアップするため、地方公共団体等と連携して「推進会議」を設置することとされている。
1.推進会議の趣旨
 地球温暖化対策における地域の役割は極めて大きく、京都議定書の約束達成を図るうえでも、地域の役割は非常に期待されている。地球温暖化問題に取り組むためには、単に新エネルギーや省エネ機器を導入するだけではなく、まずは、地域におけるエネルギー需給構造を十分に把握し、問題を分析したうえで、地域に関わる様々な計画・ビジョンなどについて、地球温暖化の観点からレビューし、都市政策や地域振興、産業政策などと連携しつつ、総合的な政策を推進していく必要がある。また、策定された計画やビジョンについて、その実効性を確保すべく、適切なフォローアップを科学的に行っていく必要もある。こうした幅広い視点から政策を構築していくため、環境政策、産業政策、農林水産業政策、都市政策、地域政策、インフラ政策などを担当する国の機関と関連する地方公共団体、エネルギー関係者、環境NGO等が現状と課題に関する認識を共有し、連携して地域における地球温暖化問題に取り組む場が必要である。
2.推進会議の設置
 上記の趣旨に基づき、政府の地球温暖化対策推進本部で取りまとめた「京都議定書目標達成計画(案)」において、地域においても経済産業省、環境省、国土交通省、農林水産省など関係省庁が協力して地球温暖化対策の地域における取り組みをバックアップするため、地方公共団体等と連携しつつ、「地域エネルギー・温暖化対策推進会議」を地域ブロック毎に設置することとされた。
 メンバーは、国の地方支分部局、都道府県を中心とする域内の地方公共団体、エネルギー関係者、経済団体、消費者、都道府県地球温暖化防止活動推進センター、NGOなどで構成される予定である。また、必要に応じて、推進会議の議題をより詳細に検討する必要があると判断される場合には、同会議の下に幹事会などを設置し検討を行う予定である。
 推進会議の事務局については、当面、経済産業局、地方環境対策調査官事務所が行い、会議の運営について運輸局、整備局、農政局等が協力する体制をとり、関係省庁が連携して推進する。 「京都議定書目標達成計画」は4月28日に閣議決定されている。京都議定書目標達成計画(案)第4章、第3節 推進体制の整備の後半に、次のような記述がある。
「地域においては、関係府省が協力して地球温暖化対策の地域における取り組みをバックアップするため、地方公共団体等と連携しつつ、「地域エネルギー・温暖化対策推進会議」を各地域ブロックごとに設置する。
地域エネルギー・温暖化対策推進会議のメンバーは、国の地方支分部局、都道府県を中心とする域内の地方公共団体に加え、エネルギー関係者、経済団体、消費者、都道府県地球温暖化防止活動推進センター、NGOなどを念頭に置いて、地域ごとに適正規模で構成する。また、地球温暖化対策地域協議会、地域バイオマス協議会などとも連携する。」
 ブロック割りについては以下のように考えられている。
北海道 北海道
東北 青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島
関東 茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨、長野、静岡
中部 富山、石川、岐阜、愛知、三重
近畿 福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山
中国 鳥取、島根、岡山、広島、山口
四国 徳島、香川、愛媛、高知
九州 福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島
沖縄 沖縄
・幹事会・分科会・ワーキンググループ等における検討について
 推進会議の議題をより詳細に検討する必要があると判断する場合には、同会議の下に幹事会などを設置し検討を行う。(原則として各地域の特性に応じて検討。幹事会などの構成、役割分担等については地域毎に調整。)
・議事の取り扱い
 会議は公開とし、会議内容については公表することを原則とする。
■ 運営体制
 当面、経済産業局、地方環境対策調査官事務所を事務局とし、運輸局、整備局、農政局等が連携して推進する。
3.地域エネルギー・温暖化対策推進会議の任務
 各地方公共団体の自主性の尊重を基本としつつ、下記の任務を行う。
■ 関係者間の情報交換・共有・課題の洗い出し
 地域内で策定される様々な地球温暖化対策に関連する政策、計画・ビジョンその具体的な取り組み、問題点や課題、国に求められる対応などについて幅広く情報交換を行う。また地域内で行われる都市再開発などエネルギー・環境に影響のある個別事案につき、事前に情報を共有する。
■ 客観的な実態把握(基礎となるデータの提供)
 国は、地域のエネルギー需給構造・エネルギー起源CO2排出量に関するデータの整備・分析を進め、事務局を通じて基礎データを提供し、地方公共団体の計画策定をバックアップする。あわせて、地域におけるCO2排出構造に関連するデータを効率的に把握する方法についても、会議において情報交換、情報共有する。さらに、当該地域においてどのような要因が温室効果ガスの排出増減に寄与したか、今後どのような施策を講ずればよいか、等についての意見交換も行う。
■ 地域の地球温暖化対策に係る計画・ビジョン・プロジェクトの策定・実現化支援
 地域省エネルギービジョン、地域新エネルギービジョンや各省連携重点プロジェクト等について分析を行い、地球温暖化対策推進法に基づく地域計画について相互に情報交換し、ベストプラクティス情報などを共有することで、地域における今後の計画やビジョン策定を支援する。また、各地域で個別に展開されている重要なプロジェクト事例について情報を共有し、今後の支援のあり方、プロジェクト遂行上支障となる事がある場合には、その解決策等について意見交換を行う。
4.地域エネルギー・温暖化対策推進会議のアウトプット
 会議での議論を踏まえ、関係者間において共有された認識については対外的に公表する。
地域における重要なプロジェクトであって、関係機関の連携・協力が必要と考えられる場合には、WG等を設けて具体的に当該プロジェクトの実施を促進することを検討する。
国の制度的・予算的枠組み、施策の運用等に関する地域の提案、意見等をとりまとめ、国の施策に反映させるようにする。このような成果によって、地方公共団体の自主的な取り組みの一層の促進を図る。
図1に「地域エネルギー・温暖化対策推進会議」と諸機関との連携を示す。
5.今後のスケジュール(予定)
 2005年6月 地域エネルギー・温暖化対策推進会議第1回会合開催。
以後、年2回会合を開催
(必要に応じ、推進会議の下に幹事会、分科会、WG等を設置)
<図/表>
図1 「地域エネルギー・温暖化対策推進会議」と他の機関との連携
図1  「地域エネルギー・温暖化対策推進会議」と他の機関との連携

<関連タイトル>
二酸化炭素の炭層への固定 (01-08-05-34)

<参考文献>
(1) 経済産業省、「地域エネルギー・温暖化対策推進会議」の設置について、2005年3月31日:
(2) 経済産業省、「地域エネルギー・温暖化対策推進会議」の設置について、2005年3月31日:
(3) 環境省地球環境局地球温暖化対策課、京都議定書目標達成計画(閣議決定) 、2005年4月28日: http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ondanka/kakugi/050428keikaku.pdf
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