<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> 省エネルギー
<小項目> 省エネ・リサイクル支援法
<タイトル>
日本の産業部門における省エネルギー対策 (01-06-03-02)

<概要>
 大幅に伸びていた産業部門のエネルギー消費は、石油危機以降は省エネルギーの進展等により大きく減少してきたが、1980年代後半から増加傾向に転じた。産業部門は、依然としてエネルギー消費の5割弱の比率を占める部門である一方、生産コスト低減の観点から、エネルギー効率向上の関心も高い部門であることから、これまで、省エネルギー対策の重点が置かれてきた。1998年度長期エネルギー需給見とおしの基準ケースを検討した結果に基づき、産業部門の省エネルギー対策としては、現行対策(1998年度)を的確に実行することが肝要である。これによって2010万klの省エネルギーが実現する。しかし、CO2削減の目標達成のためには、さらに、新規の対策が必要で産業部門では40万klの削減を目標としている。
<更新年月>
2004年08月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.産業部門における最終エネルギー消費の推移
 エネルギー消費において重要な位置付けを有する産業部門であるが、1973年の第1次石油危機以降はエネルギー利用の効率化進展、産業構造の変化(産業の中心が基礎素材産業から加工組立産業、電子・情報産業ヘシフト)により、その結果1973年度から1986年度までの13年間の年平均伸び率は、マイナス1.1%と減少傾向で推移した。
 1986年度以降は内需主導型の景気拡大により生産活動が活発化したこと、また省エネルギーへの改善傾向が頭打ちとなったこと等によりエネルギー消費は顕著な伸びで推移し、1986年度から1991年度までの5年間では、年率3.5%と再び増勢に転じている。
 1992年度以降は、景気が調整局面に入ったこともあり、製造業の生産指数も落ち込み、エネルギー消費量も減少で推移した。しかし1994〜1996年度は、景気が緩やかな回復基調で推移したことから、再び対前年度比プラスと増加基調に推移した。1997年のアジア通貨危機を契機とした景気後退により、1998年度のエネルギー消費は減少したが、1999年度には景気が回復し、2000年度には7534PJの消費となった。しかしながら、2001年度には再び景気が悪化し対前年度比マイナス2.2%の7368PJの消費となった(表1図1)。
 1990年代以降、生産数量の減少や多品種少量生産、製品の高付加価値化等の市場ニーズの対応により、エネルギー消費原単位は一貫して増加傾向で推移しており(図2)、今後、いっそうのエネルギー消費の効率化のためには、製造設備の効率改善、革新的な省エネルギー技術の開発および実用化等が必要となっている。
2.産業部門の省エネルギー対策
 産業部門は、エネルギー消費において最も大きな比率を占める部門である一方、生産コスト低減の観点から、エネルギー効率向上の関心も高い部門でることから、これまで、省エネルギー対策の重点が置かれてきた。
 産業部門のエネルギー需要は、石油危機以降、省エネルギー設備や技術の導入等が積極的に図られたことに加え、産業構造自体が変わったことにより、最新時点においても概ね石油危機当時の水準に留まっている。また、1990年代を通じても微増傾向で推移している。その一方で、依然として産業用需要が総需要の5割弱を占めている現状等を踏まえ(表1)、一層の努力が必要であるとの考えに基づき、現行長期需給見通しにおける対策においては、地球温暖化防止対策に係る自主行動計画の実現を前提に、原油換算で2000万klに上る最も大きな対策量が見込まれている。その後、産業界において本自主行動計画達成に向けた努力が進められる一方、省エネルギー法の改正による自主管理の強化が行われた。これらの対策の成否は、将来における需給の基準ケース自体の根幹に大きく影響するものであり、これらの対策をフォローアップしつつ、その的確な遂行に努めることが重要である。その上に;
(1)自主行動計画について
 このため、経団連環境自主行動計画など、経済産業省所管の自主行動計画については、産業構造審議会において1998年には26業種、1999年〜2002年には28業種にわたる産業界の自主行動計画のフォローアップを定期的に実施している。表2に経団連環境自主行動計画を示す。その透明性や実効性を向上させるための措置の検討、及び自主行動計画を策定していないアウトサイダーの参加を拡大していくための対策の検討が必要であるが、これについては、現在審議が行われている産業構造審議会の場において早急に進められることが期待される。
(2)省エネルギー法の改正・強化(2003年4月施行)(図3
・第一種エネルギー管理指定工場対象業種の撤廃
 ここまで製造業第5業種に限定されていた第一種エネルギー管理指定工場の指定対象が全業種に拡大された。
・エネルギー使用合理化の徹底
 2001年度からは第一種エネルギー管理指定工場を対象に、その判断基準を踏まえた新たな総点検プロセス(工場現地調査の実施、法5条に基づく指導等)を実施すると共に、必要があれば、法25条第2項に基づく立入検査の実施、さらには法12条に基づく合理化計画といったフォローアップ措置を発動することによって、エネルギー使用合理化への取り組みの徹底を図っている。省エネルギー法改正に併せ、2003年4月から新たな工場判断基準が施行された。エネルギー使用状況の定期報告、省エネ目標達成のための中・長期計画の作成・提出及びエネルギー管理者の選任を義務付けている。
・第二種エネルギー管理指定工場についての定期報告書提出の義務付け
 従来、第二種エネルギー管理指定工場については、エネルギー使用量等に関する記録だけに留めていたものを、国に定期報告することになった。エネルギー管理員の選任及び定期報告の提出を義務付けている。
(3)省エネルギーに資する技術・設備の導入、普及等(表3
 省エネルギー投資に係るコスト低減のため、先進的な省エネルギー設備の導入に対する助成制度、省エネルギー等の導入に係る税制優遇措置(エネルギー需要構造改革投資促進税制)、省エネルギー設備導入に対する低利融資制度等の支援制度等の支援制度を行っている。
 また、省エネルギーの成果が大きい工場・事業場およびその推進に功績のあるものに対して、表彰(大臣表彰、長官表彰)を行い、これらの広報を通じ優秀事例として紹介し、省エネルギーの一層の推進を図っている。
 その際、自主行動計画未策定業種や策定業種であってもその後のフォローアップにおいて、目標に比べて実施状況に大幅な乖離が見られる業種の点検を優先的に行っていくことにより、規制面からも自主行動計画の効果をより引き出していくことが適当と考えられる。また、特に新たに規制が導人された第二種エネルギー管理指定工場については、当面実施状況についてフォローアップを行い、将来必要があれば規制の強化等を図っていくことが適当である。
(4)その他対策について
 現行対策において、自主行動計画に加え、更なる追加的措置として計上されている高性能工業炉の導入については、技術開発終了後、1998年度から3年間行われたフィールドテストの結果、高い実績(約170件で平均30%、年間原油換算約16万klの省エネ)を上げており、自主行動計画策定企業等において今後相当の導人が期待される。一方、中小企業においては、資金的制約等から導入が進みにくいことから、今後は政府の支援措置により、積極的な導入を進めることが必要である。省エネ効果としては、自主行動計画における対策との重複を避け、中小企業への導入量についてのみ試算している。
3.産業部門の省エネルギー対策効果:2050万kl
(1)現行対策の効果:2010万kl
(2)新規対策の効果:40万kl
 高性能工業炉(中小企業分):40万kl
<図/表>
表1 部門別最終エネルギー消費の推移
表2 経団連環境自主行動計画
表3 省エネルギー設備導入に対する融資制度
図1 製造業の業種別エネルギー消費量の推移
図2 主要産業におけるエネルギー消費原単位の推移
図3 省エネルギー法における工場・事業場に係る措置のポイント

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<関連タイトル>
省エネルギーの必要性 (01-06-01-02)
日本の民生部門における省エネルギー対策 (01-06-03-03)

<参考文献>
(1)資源エネルギー庁(編):エネルギー2004、(株)エネルギーフォーラム(2004年1月21日)、p.52-90
(2)資源エネルギー庁:インフォーメーション、統計情報、需給関連、2002(平成14)年度エネルギー需給実績(確報)、本文(PDFファイル),
(3)資源エネルギー庁:施策情報、目指すべきエネルギー需給像に向けた対策、長期エネルギー需給見通し概要
(4)資源エネルギー庁省エネルギー対策課(監修):省エネルギー便覧 2003年版、(財)省エネルギーセンター(2003年12月)、p.70-110
(5)資源エネルギー年鑑編集委員会(編):2003/2004 資源エネルギー年鑑(2003年1月)、p.23-29、p250-258
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