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<概要>
 平成21年(2009年)において、法令に基づき原子力安全委員会に対して報告された実用発電用原子炉施設(原子力発電所)に係る事故・故障等は16件であった。いずれも放射性物質による環境への影響はなかった。
<更新年月>
2011年11月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 平成21年(2009年)において、法令に基づき原子力安全委員会に対して報告された実用発電用原子炉施設に係る事故・故障等は16件であった。発生時の状態の内訳は、a)運転中に手動停止又は自動停止したもの:3件、b)運転中において計画外に出力低下したもの:5件、c)運転中に発見されたもの(a,b以外):2件、d)原子炉停止中に発見されたもの:6件となっている。
 これらの事故・故障等の国際原子力事象評価尺度(INES)による評価は、レベル1:2件、レベル0+:2件、レベル0−:11件、評価対象外:1件で、いずれも放射性物質による環境への影響はなかった。
 上記16件の事故・故障等の概要を表1-1表1-2表1-3表1-4に示す。

<注記1>事故・故障データの把握期間
 平成21年版原子力安全白書では、事故・故障のデータは暦年(1月1日〜12月31日)で整理されている。暦年整理は平成12年版からで、ちなみに、平成11年版以前の原子力安全白書は財政年度(4月1日〜3月31日)で整理されている。
<注記2>国際原子力事象評価尺度(INES)について
 難解な原子力発電所の事象を専門家も一般の人々も共通して理解できるように、国際原子力機関(IAEA)および経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)において、1989年以来、原子力施設の事故・故障等に係る国際的な評価尺度(International Nuclear Event Scale:INES)について検討がなされ、その後、1992年3月にウィーンで開催された技術委員会において発電用原子炉について正式な運用の開始が合意された。また、発電用原子炉以外の原子力施設(試験研究炉、再処理施設、加工施設、使用施設、廃棄物管理施設、廃棄物埋設施設)および核燃料物質等の輸送については試験的運用を開始することとなった。
 これを踏まえてわが国においては、1992年8月1日以降に発電用原子炉において発生した事象についてINESを導入するとともに、発電用原子炉以外の原子力施設については試行的にINESを導入してきたが、平成16年1月より本格的運用が開始された。
 この評価尺度は、(1)サイト外への影響:放射性物質の発電所外への影響、(2)サイト内への影響:放射性物質の発電所内への影響、(3)施設の深層防護への影響:発電所の安全確保機能の劣化、の3つを基準にして、レベル0から7までに分けられている。通商産業省(2001年1月6日から経済産業省)は、1992年8月からこの国際評価尺度を採用している。日本でのトラブルは、ほとんどがレベル0になるので、このレベルを安全に影響を与え得る事象レベル0+(プラス)と安全に関係する事象レベル0−(マイナス)に分けている。
<図/表>
表1-1 実用発電用原子炉における事故・故障等一覧(平成21年)(1/4)
表1-1  実用発電用原子炉における事故・故障等一覧(平成21年)(1/4)
表1-2 実用発電用原子炉における事故・故障等一覧(平成21年)(2/4)
表1-2  実用発電用原子炉における事故・故障等一覧(平成21年)(2/4)
表1-3 実用発電用原子炉における事故・故障等一覧(平成21年)(3/4)
表1-3  実用発電用原子炉における事故・故障等一覧(平成21年)(3/4)
表1-4 実用発電用原子炉における事故・故障等一覧(平成21年)(4/4)
表1-4  実用発電用原子炉における事故・故障等一覧(平成21年)(4/4)

<関連タイトル>
原子力施設の故障・トラブル・事故の国際評価尺度 (11-01-04-01)
平成18年実用発電用原子炉(原子力発電所)の事故・故障 (12-01-02-28)
平成19・20年実用発電用原子炉(原子力発電所)の事故・故障 (12-01-02-29)

<参考文献>
(1)原子力安全委員会(編):原子力安全白書(平成21年版)、p.70-75、

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