<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> エネルギー政策
<小項目> 省エネルギー政策
<タイトル>
日本の省エネルギー政策 (01-09-08-02)

<概要>
 1997年12月に開催された地球温暖化防止京都会議における、温室効果ガスの排出を2008年から2012年に1990年比6%削減するという合意を踏まえ、わが国は、原油換算約5600万kl相当の現行省エネルギー対策を積み上げることとした。さらに、2000年から行われた総合資源エネルギー調査会でのエネルギー政策の総合的な見直しの中で、省エネルギー部会において、現行省エネルギー対策の再評価(原油換算約5000万kl)、およびエネルギー需要傾向が著しい民生・運輸部門を中心とした追加的省エネルギー対策(原油換算約700万kl)を打ち出し、2001年6月に今後の省エネルギー対策のあり方について報告書がとりまとめられた。現行対策の継続を重視すること。長期にわたって継続性を持つ対策を進めること。国民の省エネ行動への環境を整備すること。の3点を政策の柱としている。その後、省エネルギー対策の強化策の検討が進められている。
<更新年月>
2006年11月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1. 省エネルギー政策の基本的考え方
1.1 エネルギー需要をめぐる情勢
 わが国は、エネルギーセキュリティ確保のため、第一次石油危機を契機として官民を挙げて省エネルギーの推進に取り組み、世界でも最高水準の省エネルギーを達成してきた。しかしながら、近年は、国民の「ゆとりと豊かさ」の追求を背景としたライフスタイルの多様化等により、わが国のエネルギー需要は一貫して高い伸びを示している。また、アジア太平洋地域の発展途上国を中心として、エネルギー消費量の著しい増加があり、エネルギー需給の逼迫が懸念されており、国際エネルギー需給を安定化させる必要がある。そのため、今後も着実な省エネルギー対策の推進が必要である。また、1997年12月に開催された地球温暖化防止京都会議において、温室効果ガスの排出を2008年から2012年に1990年比6%削減するという合意を踏まえ、わが国は、原油換算約5600万kl相当の現行省エネルギー対策を積み上げることとした。さらに、2000年から行われた総合資源エネルギー調査会におけるエネルギー政策の総合的見直しの中で、省エネルギー部会は、現行省エネルギー対策の再評価(原油換算約5000万kl)、およびエネルギー需要傾向が著しい民生・運輸部門を中心とした追加的省エネルギー対策(原油換算約700万kl)を打ち出し、2001年6月に今後の省エネルギー対策のあり方について報告書をとりまとめた(表1参照)。その後、省エネルギー対策の強化策の検討が進められ、2004年7月に「今後の省エネルギー対策のあり方について」の中間とりまとめがなされた(表2参照)。
1.2 省エネルギー政策の展開
 このような状況を踏まえ、経済産業省はエネルギー需給構造高度化対策の柱として以下の省エネルギー政策を展開してきた。省エネルギー対策の概観と改正された「省エネルギー法」の概要を表3及び表4に示す。
1.2.1 総合的省エネルギー対策推進のための体制整備
(1)1993年「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネルギー法)」の改正(省エネルギーに関する基本方針の策定や、エネルギー管理指定工場に係る定期報告の義務付け等を追加)、1998年「省エネルギー法」の改正(施行は1999年、自動車の燃費基準や電気機器等の省エネルギー基準へのトップランナー基準の導入、大規模エネルギー消費工場への中長期の省エネルギー計画の作成・提出の義務付け、エネルギー管理員の選任等による中規模工場の対策などを追加)並びに2002年「省エネルギー法」の改正(大規模オフィスビル等への大規模工場に準ずるエネルギー管理の義務付け、2000m2以上の非住宅建築物への省エネルギー措置の届出の義務付け)によるさらなる省エネルギー強化
(2)「エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法(省エネ・リサイクル支援法)」の制定・施行(1993年)
(3)2005年2月の京都議定書の発効を受け、2005年8月に「省エネルギー法」を改正(2006年4月施行、工場・事業所における熱と電気の一体管理の推進、大規模な輸送事業者および荷主に対する定期報告および計画の作成・提出の義務付け、建築物における省エネルギー措置の届出の義務の対象拡大等)
(4)2006年度の政府予算において、省エネルギー対策関連として総額1477億円を計上(2005年度は1486億円)等
1.2.2 個別分野における省エネルギー対策の推進
 わが国の省エネルギー政策の概要を、表5に示す。以下に主要な対策について述べる。
(1)省エネルギー設備・システムの導入の促進
・産業部門および民生業務部門の省エネルギー設備投資を円滑に推進するため、省エネ・リサイクル支援法等により、金融・税制上の助成措置を講じている(日本政策投資銀行、中小企業金融公庫等による低利融資、エネルギー需給構造改革投資促進税制等)。
・省エネルギー・省資源対策推進会議(各省庁の事務次官等で構成)において政府部内における省エネルギー型機器の導入、利用の促進等を申し合わせた。
(2)省エネルギー技術の開発および実用化の加速
・将来の省エネルギーの実効性を技術面から確保するため、省エネルギー関連技術研究開発を産・官・学の緊密な連携のもとで推進している。
(3)省エネルギー法に基づく判断基準の改定および的確な運用
 a)工場におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断基準
 i)現行判断基準に掲げる各項目の見直し
 改正省エネ法により、将来計画の提出義務も付加されたこともあり、工場に係る判断基準において、新たに示すこととなった「当該目標(エネルギ−の使用の合理化の目標)を達成するために計画的に取り組むべき措置」として盛り込む内容について検討を行い、あわせて、従来の項目についても所要の見直しを行う。2001年度から省エネ法に基づく基準の遵守状況について総点検を実施することにより、エネルギー使用合理化への取組の徹底を図っている。
 ii)第2種エネルギー管理指定工場制度創設にともなう各項目の見直し
 改正省エネ法により民生業務部門を含む全業種を対象とした第2種エネルギー管理指定工場制度を創設することから、従来の製造業等に重点をおいて設けられていた項目に加えて、主として民生業務部門に重点をおいた項目の充実を図るべく検討を行う。コージェネレーションやヒートポンプ技術などの導入が加速化し、熱と電気の相互代替が進展していることを踏まえ、熱と電気の管理の一体化を義務付けている。
 iii) 現行判断基準の数値基準、数値目標の見直し
 現行判断基準において定められている数値基準、数値目標(例えば、ボイラーおよび工業炉の空気比、炉壁外面温度)について、一層の省エネルギーを推進すべく、所要の見直しを行う。なお、今般「省エネルギー法」の改正において、エネルギー需要の増加傾向が著しい民生業務部門等における対策の強化を図るため、大規模オフィスビル等について、そのエネルギー需要の実態を踏まえつつ、大規模工場に準ずるエネルギー管理の仕組みを導入するとともに、建築物の建築段階において適切に措置を講じることを促進する仕組みを導入する。また、国がエネルギーの使用状況等をより適切に把握しつつ対策を講じることができる仕組みの構築を図る。主要業種については、「経団連環境自主行動計画」に基づき、自主的な取組が進められ、関係審議会等において定期的なフォローアップを実施している(表6参照)。
 b)特定機器に係る性能向上に関する製造事業者等の判断基準
 運輸部門や家庭等におけるエネルギー消費量は、近年著しく増加しており、その大きな要因は、自動車、家電、OA機器等の普及である。これらの機器に係る省エネルギーを行うに当たっては、使用者である国民に対し節約の努力を求めることも重要であるが、機器のエネルギー消費効率が悪い場合には、使用段階で努力してもおのずと限界がある。このため、製造事業者等にエネルギー消費効率の高い機器の開発・供給を確実に促すとが必要である。このため、1998年の「省エネルギー法」改正において、機械器具に係る措置を強化し、自動車の燃費基準や電気機器(家電・OA機器)等の特定機器に係る性能向上に関する製造事業者等の判断基準(以下、省エネルギー基準という)を、現在商品化されている製品のうちエネルギー消費効率が最も優れているもの(トップランナー)の性能、技術開発の見通し等を勘案して定め、機械器具のエネルギー消費効率の更なる改善を推進する。
 電気機器等の省エネルギー基準にトップランナー基準を導入して以来、随時、対象機器を追加することで、機器のエネルギー消費効率の向上を図っている。2006年度には、液晶・プラズマテレビ、DVDレコーダー、炊飯器、電子レンジを新たに対象に追加し、さらに、2004年度に目標年度を迎えたエアコン、電気冷蔵庫・冷凍庫について、基準の見直しを検討するなど、個々の機器における対策の強化が図られている(表7参照)。
 c)住宅・建築物に係る判断基準
・住宅・建築物に係る省エネ基準(従来の基準に比べ、住宅で約20%の冷暖房エネルギー消費量、建築物で約10%のエネルギー消費量の削減に相当)を充足する住宅や建築物の普及促進のため、性能表示制度の活用促進、誘導的措置の拡充(住宅への助成制度の拡充や建築物に対する税制等の拡充)、規制的措置の運用強化等を合わせて実施する。また、地域の特性に対応した多様な設計・施工方法の活用が図られるよう適宜基準の見直しを実施する。2000m2以上の非住宅建築物の省エネルギー措置の届出の義務付けがなされていたが、2000m2以上の住宅を新築等する場合、さらにこれらの建築物の大規模修繕等を行う場合にも同様の届出が義務付けられた。
(4)広報等による国民の省エネ意識の高揚
・省エネルギー・省資源対策推進会議の決定による「夏季、冬季の省エネルギーについて」等を通じた諸対策の周知徹底。(株)省エネルギーセンターを中心として、ポスター、パンフレットの作成・配布、シンポジウムの開催、マスメディアを通じた情報の提供。以上のようなきめ細かな対応を通じ、産業・民生・運輸の分野において、省エネルギーの促進を図る。
1.2.3 省エネルギー対策の国際的な推進
(1)エネルギー需要の増大が見込まれる発展途上国においては、省エネルギーに対する必要性が高まっている。このため、当該国における自助努力を基本としつつ、わが国が有する省エネルギーについての豊富な実績、優れた技術・ノウハウを活用して、これらの発展途上国の省エネルギー推進を図ることが肝要であり、わが国は、さまざまな形での省エネルギー分野の国際協力に力を入れている。
(2)2国間協力として、
・専門家の派遣
・研修員の受け入れ
・製鉄所、発電所のように大量のエネルギーを消費しているプラントでの廃熱の回収等の省エネルギー技術のモデル実証事業の実施、等
(3)多国間協力として、IEAおよびAPEC等の国際機関を通じた情報交換・意見交換等により、国際協力に可能な限り取り組んでいる。また、アジア地域全体を視野においたエネルギー安定供給の強化に取り組む。具体的には、石油備蓄体制整備等への協力、域内の石油代替エネルギーの開発・利用拡大への参画、省エネルギー・新エネルギー普及のための協力等に取り組む。また、わが国として中東産油国との協力関係強化にも努力する。
(4)国際エネルギースタープログラム
 一方、各国においても、地球環境問題等に対する取組みとして、省エネルギー基準やマーク制度の採用が始まっている。国際的に貿易取引が多い製品について、各国がバラバラな基準を実施することは貿易障壁となるおそれがある。このような問題に対しては、国際的に調和のとれた制度を実施していくことが必要であるため、コンピュータ等の事務機器を対象とした、国際省エネマーク制度である国際エネルギースタープログラムを1995年10月1日より始めた。
2.部門別の省エネルギー対策
 1997年末に開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)での目標達成には、二酸化炭素排出量の削減につながるエネルギーの使用の合理化の一層の徹底を図ることが不可欠である。そのため、1998年、産業・民生・運輸各部門において一層の省エネルギーを邁進するため、「省エネ法(1998年改正)」を中心とした原油換算約5600万kl相当の現行省エネルギー対策を積み上げた。京都議定書における二酸化炭素排出量の6%削減に向けた政策の組み合わせと基本的な考え方を図1および図2に示す。
(前回更新:2004年2月)
<図/表>
表1 現行省エネルギー対策及び今後の省エネルギー対策の概要
表2 省エネルギー部会で検討された省エネルギー対策強化策
表3 省エネルギー対策の概観
表4 「省エネルギー法」の概要
表5 省エネルギー政策の概要
表6 経団連環境自主行動計画の概要(主要業種)
表7 各種の特定機器のおける省エネルギー目標
図1 京都議定書の▲6%削減に向けた絵姿
図2 京都議定書目標達成計画の基本的考え方

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<参考文献>
(1) 省エネルギー総覧編集委員会(編):省エネルギー総覧2004/2005、通産資料出版会(2003年12月)
(2) 資源エネルギー庁(編):エネルギー2004、エネルギーフォーラム(2004年1月)
(3) 資源エネルギー年鑑編集委員会(編):2003/2004 資源エネルギー年鑑、通産資料出版会(2003年1月)
(4) 総合資源エネルギー調査会省エネルギー部会報告書—今後の省エネルギー対策のあり方についてー(2001年6月)
(5) 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー部会中間取りまとめー今後の省エネルギー対策のあり方についてー(別表)(2004年7月)
(6) 省エネルギーセンターホームページ:省エネルギー政策の概要
(7)資源エネルギー庁ホームページ:エネルギー白書2006
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