エネルギー消費量の増加率を国内総生産(GDP)増加率で割った比をエネルギー弾性値という。一般に弾性値とは2つの量の増加率の比をいい、ある基準量の増加率に比べて着目する量の増加率がどの程度であるかを測る尺度として用いられる。エネルギー弾性値の場合には、通常GDPを基準量とし、その増加に際してエネルギー消費量がどの程度増加するかを表す。この概念は個別産業についても適用可能であるが、通常は一国全体を対象とする。また、最終エネルギー消費量に着目する場合と、転換ロスを含めた一次エネルギー消費量に着目する場合とがある。これらは一長一短であるが、一国全体を対象とする際には後者を用いる場合が多い。エネルギー弾性値は経済の発展段階に応じて変化する。例えば重化学工業の生産が急拡大する時期には1.0を超えるが、生産の主力が機械産業や第3次産業にシフトしていく段階では1.0以下となる。ただ、エネルギー価格がエネルギー消費に与える影響も大きいので、エネルギー弾性値の変化を評価する際には価格変動の効果を考慮することが不可欠である。