<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> 日本のエネルギー情勢
<小項目> 日本のエネルギー需給
<タイトル>
エネルギー需給実績(2000年度) (01-02-02-12)

<概要>
 経済産業省は2002年3月19日、第28回総合エネルギー対策推進閣僚会議に、わが国のエネルギー需給の現状を報告するとともに、2010年度の石油代替エネルギーの供給目標(案)を提出した。それによると、わが国の1990年代のエネルギー需要は、1998年度に対前年度比でマイナスとなった以外は、増加基調で推移している。部門別の動向を見ると、運輸部門のエネルギー消費は、自家用乗用車の普及台数の増加等により、2000年度を除き一貫して増加してきた。家庭やオフィスなどの民生部門におけるエネルギー消費は、豊かさを求めるライフスタイル等を背景に、一貫して増加している。一方、製造業を中心とする産業部門におけるエネルギー消費の伸びは、民生部門、運輸部門に比べて低いものとなっている。この結果、第一次石油危機の頃にはエネルギー消費全体の約2/3を占めていた産業部門のシェアは半分近くに低下し、エネルギーの消費主体が家庭やサービス部門にシフトしている。
<更新年月>
2003年01月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.1 経済成長とエネルギー消費
(1) エネルギー需要の動向
 わが国のエネルギー需要(最終エネルギー消費)は、高度成長期といわれた1960年から1970年にかけて、経済成長率(実質国内総支出)が年率10.2%と未曾有の伸びを記録してきたことを背景に、年率12.5%と極めて高い伸びで推移した。
 しかしながら、2度の石油危機を契機としてエネルギー利用の効率化が進み、産業構造が変化したこと等を背景に、1979年度以降1986年度までの7年間では、最終エネルギー消費全体で年平均マイナス0.4%の伸び率で推移した。しかしながら1987年度以降の内需主導型の経済成長、さらに低水準で推移するエネルギー価格等を背景にエネルギー需要(最終消費エネルギー)は増勢に転じ、1986年度から1990年度の4年間で年率4.4%の伸び率で推移した( 表1図1 )。
 近年は、景気が調整局面となった1992年度は0.4%、1993年度は0.7%と伸び率が鈍化したものの、1994〜1996年度は、景気が緩やかな回復基調で推移したことに加え、一部産業における輸出の急増(為替相場の円高傾向による)や記録的な猛暑による電力需要の急増等もあり、増加傾向で推移している。特に、快適さや利便性を追求するライフスタイルの浸透等による民生、運輸部門のエネルギー消費の伸びが顕著であり、産業部門のエネルギー消費が年平均0.9%の伸び(1990〜2000年度)に留まっているのに対し、民生・運輸部門は同期間内にそれぞれ年平均2.4、2.0%の増加傾向を示している(最終エネルギー消費は年平均1.5%の増加となっている)。
 2000年度は、実質経済成長率が+1.7%と景気の部分的回復等により、最終エネルギー消費は375.740×1013kcal、対前年度比で0.7%の増加となった。部門別に見ると、産業部門では景気の部分的回復等により、1.3%増加となり、民生部門では、家庭部門におけるエネルギー消費が全般に顕著に増加したこと並びに業務部門で都市ガス及び電力が増加したことにより2.4%増加し、運輸部門では乗用車部門が増加したものの旅客輸送需要の減少、貨物物流の動向変化の影響によりマイナス2.2%となった。
1.2 産業部門のエネルギー消費
(1) エネルギー消費の概況
 他の先進諸国と比較した場合のわが国エネルギー需給構造の特徴の一つとして、最終エネルギー消費に占める産業部門の比率が高いことがあげられる。これにはわが国がエネルギー多消費型の重化学工業を中心に経済成長を達成してきたこと、また国土が狭く運輸部門が小さいこと、気候に恵まれ民生部門が小さい等いろいろ理由は考えられるが、この特徴により、産業部門における省エネルギーはエネルギー・セキュリティの確保の上で重要であることが指摘できる。
(2) エネルギー消費の推移
 このようなエネルギー消費において重要な役割を持つ産業部門であるが、1973年の第1次石油危機以降はエネルギー利用の効率化進展、産業構造の変化(産業の中心が基礎素材産業から加工組立産業、電子・情報産業ヘシフト)により、1973年度から1986年度までの13年間の年平均伸び率は、マイナス1.1%と減少傾向で推移した( 図2 )。1986年度以降は内需主導型の景気拡大により生産活動が活発化したこと、また省エネルギーへの改善傾向が頭打ちとなったこと等によりエネルギー消費は顕著な伸びで推移し( 図3図4 )、1986年度から1991年度までの5年間では、年率3.5%と再び増勢に転じた。
 1992年度以降は、景気が調整局面に入ったこともあり、製造業の生産指数も落ち込み、エネルギー消費量も減少で推移した。しかし1994〜1996年度は、景気が緩やかな回復基調で推移したことから、再び対前年度比プラスと増加基調に推移した。
 1997年のアジア通貨危機を契機とした景気後退により1998年度のエネルギー消費は対前年度比マイナス2.6%と減少したが、1999年度には景気が回復し、2000年度には178.091×1013kcalの消費となった。
1.3 民生部門のエネルギー消費
(1) エネルギー消費の概況
 民生部門は、運輸関係(自家用乗用車等)を除く家計消費部門におけるエネルギー消費(冷暖房用、給湯用、厨房用、動力・照明用等)を対象とする家庭部門と、企業の管理部門等ビル・事務所、ホテル、百貨店等第3次産業(運輸関係事業、エネルギー転換事業を除く)等におけるエネルギー消費(内容は家庭部門同様)を対象とする業務部門に大別される。
 2000年度の民生部門エネルギー消費は99.745×1013kcal( 図5 )、対前年度比2.4%増となっており、最終エネルギー消費の約26.5%を占める。内訳は、家庭部門14.2%(対前年度比3.5%増加)、業務部門12.3%(対前年度比1.2%増)となっている。
(2) エネルギー消費の推移
 1) 家庭部門
 家庭部門のエネルギー消費は、世帯数の増加や高齢者比率の上昇等の社会状況との相関が高く、また生活の利便性、快適性、豊かさを追求する国民のライフスタイルの変化等によりこれまでほぼ一貫して増加してきている。特にその伸び率は景気変動の影響をあまり受けないため、産業部門のエネルギー消費の伸び率との間に大きな乖離が見られている。用途別構成を見ると、近年においては家電製品の普及や大型化・多機能化により、動力・照明用の需要の増加が顕著である。また暖房用需要が増加し、給湯・厨房用需要が減少傾向で推移している。一方、気候の変化が冷暖房用を中心にその消費に大きく影響することが特徴としてあげられる。冷房用は2.2%(2000年度)と構成比としては小さいが、夏季の短期間に需要が集中するため、ピーク時の電力不足の問題を引き起こす原因となっている。なお、これは業務部門においても同様のことがいえる。
 2000年度は、住宅建設には伸び悩み傾向が見られたが、家電製品の普及率がさらに増加し、また、気温動向が「厳冬」であったため、家庭部門のエネルギー消費は、53.392×1013kcal、対前年度比3.5%の増加となった( 図6 )。エネルギー源別の構成比をみると、電力(42.7%)が大きく、以下石油製品(37.8%)、ガス(17.8%)となっている。
 2) 業務部門
 業務部門のエネルギー消費は経済活動との相関関係の高さが指摘されているが、1965年度から1973年度までは年率15.0%の伸び率、石油危機以降の1973年度から1985年度までは、消費原単位の改善等により年率1.3%増と低い伸び率で推移した。以降は、延床面積の増加、オフィスの情報化・OA化の進展や空調設備需要の高まり等を背景に顕著に増加している。またエネルギー源としては電力が顕著な伸びを示している。用途別構成をみると給湯用、動力・照明用、暖房用で8割以上を占めているが、近年の傾向としては給湯用のシェアが小さくなり、動力・照明用がシェアを伸ばしつつある( 図7 )。また、冷房用の比率が家庭部門に比べ大きい特徴がある。
 2000年度は、建築物着工床面積(非居住用)のうち、商業用は減少(−14.3%)したが、営業時間の長時間化等の影響が見られ、46.352×1013kcal、対前年度比1.2%増となった。なお、エネルギー別にみるとガス(+6.5%)と電力(+2.9%)が顕著な増加を示した。
1.4 運輸部門のエネルギー消費
(1) エネルギー消費の概況
 運輸部門は、乗用車、バス等の旅客部門と陸運、海運、航空貨物等の貨物部門に大別される。2000年度における運輸部門のエネルギー消費は、90.740×1013kcalで、これは最終エネルギー消費全体の24.2%を占める( 図8 )。内訳は旅客部門15.5%、貨物部門8.7%となっている。
(2) エネルギー消費の推移
 1) 旅客部門
 旅客部門のエネルギー消費は、1965年度から1973年度まで、年率13.4%、1973年度から1986年度までが年率3.8%、1986年度から1992年度までが年率5.7%と石油危機以降若干伸び率が低下した時期があったものの、1993年度以降は、輸送需要の増大、自動車保有台数の増加、実走行燃費の悪化等により、1999年度までほぼ一貫して高い伸び率で推移してきた。
 2000年度は自家用乗用車の保有台数が堅調に増加する一方でバス、鉄道等の旅客輸送需要の減少や燃費向上によってエネルギー消費量は、58.079×1013kcal、対前年度比2.7%減となった。輸送機関別エネルギー消費量をみると、自家用乗用車が一貫して大きなシェア(85.4%)を占めている( 図9 )。
 2) 貨物部門
 貨物部門のエネルギー消費は、1979年度から1982年度まで減少傾向にあったが、以降1992年度まで上昇傾向に転じている(1986年度から1992年度まで年率2.9%の伸び)。1993年度以降は、景気の後退局面の長期化に伴う貨物輸送需要の減少等によりエネルギー消費は減少したが、その後は、鉱工業生産指数の上昇等の影響により輸送量が増加し、エネルギー消費も増加した。1997年度は不況の影響でエネルギー消費は減少したが、1998年度、1999年度と再び増加した。
 輸送機関別のエネルギー消費量をみると、貨物自動車が圧倒的な割合(81.6%)を占め、輸送量も全体の半分(54.2%)を占めている( 図10 )。
 2000年度は景気の回復に伴い貨物部門全体の輸送量が増加したが、輸送効率の高い営業用トラックが増加する一方、自家用トラックが減少するという貨物物流の動向変化を受け、エネルギー消費量は、32.661×1013kcal、対前年度比1.3%減となった。
<図/表>
表1 部門別最終エネルギー消費の推移
図1 (1973=100)とする部門別最終エネルギー消費の推移
図2 産業部門エネルギー消費の推移
図3 主要業種のエネルギー消費原単位の推移
図4 産業部門エネルギー消費構成の推移
図5 民生部門エネルギー消費の推移
図6 民生・家庭部門エネルギー消費構成の推移
図7 民生・業務部門エネルギー消費構成の推移
図8 運輸部門エネルギー消費の推移
図9 運輸・旅客部門エネルギー消費の推移
図10 運輸・貨物部門エネルギー消費の推移

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<関連タイトル>
日本のエネルギー供給とその推移 (01-02-02-01)

<参考文献>
(1) 資源エネルギー庁(編):エネルギー2003、(株)エネルギーフォーラム(2002年11月)
(2) 資源エネルギー庁:第28回総合エネルギー推進閣僚会議 資料および要旨、Topics
(3) (財)日本エネルギー経済研究所計量分析部(編):EDMC/エネルギー・経済統計要覧2002年版、(財)省エネルギーセンター(2002年2月)
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