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<概要>
 「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は2007年に発行の科学的・技術的・社会経済的評価に基づく第4次評価報告書で、今後各国が経済発展を追求しながら世界全体として低炭素社会へ移行し、温室効果ガス排出量を削減する方向が示された。わが国においても、原子力委員会に「地球環境保全・エネルギー安定供給のための原子力のビジョンを考える懇談会」が設置され、上記について積極的に取り組むこととしている。
 海外では、国際原子力パートナーシップ(GNEP)閣僚級会議が開催され、日本を含む21ヶ国が参画し、多角的テーマの議論が開始された。国内では、高速増殖炉(FBR)実証炉開発の中核企業に三菱重工が決定し、実施体制が確立した。また、7月の中越沖地震発生により、東京電力柏崎刈羽原子力発電所において設計震度を大きく上回る揺れが観測され、稼働中の4基が自動停止した。
<更新年月>
2011年08月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 

1.内外の原子力関係の出来事
月日 国内 国外
2007年
(平成19年)
1/10   欧州委員会、2020年までにCO2を20%削減することを目指す欧州連合(EU)共通のエネルギー政策を発表
1/29 日本原燃、六ケ所再処理工場で使用済み燃料を用いた第三ステップのアクティブ試験を開始  
2/6   タイ・エネルギー省、原子力発電導入の検討を明らかに
2/7 事故以来、2年半ぶりに関西電力・美浜3号機が運転再開  
2/15   国際原子力機関(IAEA)と国際標準化機構(ISO)、国際放射能標識の使用・運営を開始
2/22   トルコ議会の産業・貿易・エネルギー天然資源・通信委員会、「原子力発電の建設・運転・売電に関する法案」を承認
2/23 電気事業連合会の勝俣恒久会長、ベトナムの原子力発電導入問題で電力業界として積極的に協力する方針を表明  
2/27 電力業界、原子力委員会に2007年度のプルトニウム利用計画を報告  
3/15 北陸電力志賀原子力発電所1号機(BWR、54万kW)で1999年6月の定期検査中、臨界事故を起こしていることが判明  
3/22 東京電力、福島第一3号機でも制御棒低下による臨界状態であったことを発表  
4/1 2006年度のわが国原子力発電所55基の平均設備利用率は前年度比2ポイント減の69.9%  
4/2 日本原燃、新型遠心機のカスケード試験を開始 英原子力廃止措置機関(NDA)、ナイレックス社を統合し、「放射性廃棄物管理局(RWND)」を設立
4/5   リトアニア議会、既設イグナリナ原子力発電所サイトに160万kW2基を2015年までに運開させるという建設計画を承認
4/18 文部科学省、経済産業省、電気事業連合会、日本原子力研究開発機構の4者、高速増殖炉(FBR)実証炉の中核企業に三菱重工業を選定  
4/27   プーチン露大統領、原子力産業複合体「アトムエネルゴプロム」設立に関する大統領令に署名
5/15 衆院、高レベル放射性廃棄物最終処分法案を自民・公明・民主の賛成多数で可決  
5/16 日立と米GE、日米に加えカナダでも新会社設立を盛り込んだ合意書を締結  
5/21   米提唱によるGNEP(国際原子力エネルギーパートナーシップ)閣僚会議が開催され、日米を加え仏露中が参画、英印も参加を検討
6/4   経済協力開発機構(OECD)の国際エネルギー機関(IEA)、ドイツに対し脱原子力政策の見直しを勧告
6/6 日本原子力研究開発機構の「常陽」、30年にわたるFBR開発の貢献で米国原子力委員会(ANS)より「ランドマーク賞」を受ける  
6/7   主要国首脳会議(G8サミット)、ドイツ・ハイリゲンダムで開催
6/19 原子力委員会、「地球環境保全・エネルギー安定供給のための原子力のビジョンを考える懇談会」の設置を決める  
6/22 政府、青森県が作成した「新むつ小川原開発基本計画」を閣議了解  
6/28   米最大手の原子力発電事業者のエクセロン、建設・運転一体認可(COL)申請サイトを発表。テキサス州の2地点で、第一候補はマタゴルタ群、第二候補がビクトリア郡
6/29 北陸電力、石川県志賀町に原子力本部を設置  
7/4 経産省、中部電力浜岡4号のプルサーマル計画に認可書  
7/10 三菱重工業と仏アレバグループ、中型炉開発で合弁会社を設立することで合意、両首脳パリで署名 ブラジル大統領、中断中のアングラ3号機(PWR130万kW)の建設再開を決定
7/16 午前10時13分ごろ、新潟県中越沖を震源とするマグニチュード6.8の地震が発生、震央距離9kmに位置する東京電力柏崎刈羽原子力発電所では稼働中の4基が自動停止  
7/30 東京電力、中越沖地震に見舞われた柏崎刈羽原子力発電所について、33台の地震計のデータ解析から、3号機のタービン建屋1階で2058ガル(想定値834ガル)の揺れが観測されていたことを発表  
8/10 原子力安全委員会、新潟県中越沖地震でも安全が維持されたとする2006年版原子力安全白書を閣議に提出  
8/16   オーストラリアのハワード首相、NPT未加盟のインドへ同国のウラン輸出を認める方針に政策転換
8/17   国際原子力機関(IAEA)、新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原子力発電所の実況調査、その報告書をとりまとめる
8/23 総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の原子炉安全小委員会保守管理検討会、原子力発電所の定期検査の間隔を現行の13ヵ月から、新たに18ヵ月と24ヵ月を設定する方針を了承  
9/3 三菱重工業と仏アレバ社、両社が出資する原子力発電事業会社名を「ATMEA」と発表  
9/4   三菱重工業と仏アレバ社、10月1日に発足させる中型炉の共同開発会社名を「アトメア」とすると発表、資本金は6600万ユーロ(約104億円)で両社が折半する
9/16   ウィーンで国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)第2回閣僚級会議会合。日米中仏露5カ国に加え、豪州、カザフスタン、ポーランド、ウクライナなど16ヵ国が参加、GNEP協力に署名
9/26 福田内閣発足  
10/5   ルーマニアのチェルナボータ2号機(CANDU、70万6000kW)が運転開始。同国の原子力発電規模は2基・141万2000kWとなった
10/23   エジプトのムバラク大統領、原子力発電開発に着手することを正式に表明。「原子力導入審議会」を設置
10/26 中部電力浜岡原子力発電所1~4号機に対し、市民団体が運転停止を求めた訴訟で静岡地裁、「耐震安全性は確保されている」として原告側の請求を棄却  
11/7   国際エネルギー機関(IEA)、中国・インドのエネルギー需要拡大に焦点を当てた「2007年版世界エネルギー見通し」を発表
11/21   インド原子力委員会のカコドカール委員長、国際原子力機関でエルバラダイ事務局長と保障措置協定締結に向けて協議
11/22 日本とインドネシア両政府、原子力発電所の導入援助に関し、協力文書に署名  
11/26   仏アレバ社と広東核電集団(CGNPC)、広東省台山にEPR2基を建設することで合意


 

2.社会一般の出来事
月日 国内 国外
2007年
(平成19年)
2月 ガス湯沸かし器、重大事故数を公表  
3月 石川で震度6強の能登半島地震  
4月 長崎市長銃撃される、年金記録漏れ、5000万件判明  
5月 松岡農相が議員宿舎で自殺  
6月 東京・渋谷で入浴施設爆発  
7月 参院選で自民党が歴史的惨敗、新潟県中越沖で震度6強の地震発生  
8月 多治見と熊谷で40.9℃の新記録  
9月 阿部首相が辞任し、福田内閣誕生  
10月 日本郵政公社が(株)日本郵政グループとして民営郵政スタート  
11月 ガソリン150円突破、テロ対策特別措置法が期限切れとなり、インド洋上で給油活動の海上自衛隊が撤収  
12月 薬害C型肝炎訴訟が和解で全面解決へ、与党が発生責任認める  

<関連タイトル>
2006年(平成18年) (17-01-07-07)

<参考文献>
(1)日本原子力産業協会(監修)、原子力年鑑編集委員会(編):原子力年鑑 2010、日刊工業新聞社(2009年10月26日)、p.428-433
(2)日本原子力産業協会:原子力産業新聞、第2360号(2009年12月20日)
(3) 原子力委員会、「平成19年版 原子力白書」(概要)、p.1-3、平成20年3月
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