<本文>
1.日本のウラン必要量
日本の原子力発電規模は、2002年および2003年には4,619万kWe、2005年には4,958万kWe、2010年には6,185万kWeと見込まれている。年間のウラン需要量は、2002年には7,840tU、2003年8,380tU、2005年10,850tU、2010年11,820tUに増加すると予測されている(
表1)。また、ウラン累積需要量は、2004年、2010年にはそれぞれ19万tU、25万tU程度と予想されている。
2010年における世界のウラン需要量は、70,605〜73,282tUと予測され、日本はその16〜17%を占めることになる(
図1)。
2.日本のウラン必要量を確保する手段
原子力の研究、開発および利用に関する長期計画(1994年)は国内にはウラン資源が殆ど存在しないことから、ウラン必要量を確保する手段として以下の通り規定している。
「わが国の原子力開発利用の自主性、安定性を確保するという観点から、長期購入契約、自主的な探鉱活動、鉱山開発への経営参加等供給源の多様化に配慮し、
天然ウラン資源の安定確保に努めていくことにします。自主的な探鉱活動については、
動力炉・核燃料開発事業団(現日本原子力研究開発機構)による海外における調査探鉱を引き続き実施します。なお、民間においても必要に応じ探鉱活動を実施し、天然ウランを確保していくことが重要であり、国はこれに必要な助成を行っていきます。」
原子力委員会は1998年2月、天然ウラン市場概況および今後の見通し、核燃料関連事業の進展などを踏まえ、核燃料サイクル開発機構(現日本原子力研究開発機構(旧動力炉・核燃料開発事業団))の探鉱活動は適当な過渡期間をおいて廃止し、国による必要な助成の下で民間活動に委ねることとした。核燃料サイクル開発機構では、海外ウラン探鉱権益の国内企業への移転などを進め、2002年6月に海外ウラン探鉱事業の整理を完了した。
2.1 長期購入契約
わが国の電力事業者は、カナダ、英国、南アフリカ、オーストラリア、フランス、米国などから長期契約、短期契約、製品購入などにより、約20万tUの購入契約を結んでいる(
表2参照)。
2.2 わが国が実施しているウラン探鉱活動
図2に日本企業が関与するウラン鉱山位置図を示す。
海外ウラン資源開発(株)、日豪ウラン資源開発(株)、出光興産(株)の3社が海外ウラン鉱山開発に経営参加している。
海外ウラン資源開発(株):ニジェールのAkouta鉱山を操業しているCominak社に25%出資し、ニジェール産ウランを日本の電力会社に供給するために輸入している。同社の100%子会社であるOURDカナダ社は、1999年に生産開始したカナダのMcClean Lake鉱床の権益を7.5%、また2010年に生産開始が計画されているMidwest鉱床の権益を4.5%保有し、カナダ産ウランを日本の電力会社に供給している。
日豪ウラン資源開発(株):同社はわが国の電力、商社が出資して設立した企業で、オーストラリアのRanger鉱山とJabiluka鉱山を所有するEnergy Resources of Australia(EAR社)の権益を10%保有し、オーストラリア産ウランを輸入し、日本の電力会社に供給している。Jabiluka鉱床は、2001年末生産開始を目途に建設が進めらている。
出光興産(株):世界最大級のウラン鉱床であるカナダのCigar Lake鉱山の権益を7.875%保有している。Cigar Lake鉱山は遅くとも2006年の生産開始に向け、建設が進められている。
東京電力(株):カナダのCigar Lake鉱山の権益5%を保有している。
<図/表>
<参考文献>
(1)OECD/NEA,IAEA:Uranium 2003:Resources,Production and Demand,OECD(2004)
(2)日本原子力産業会議(編集・発行):原子力ポケットブック2004年版、p.184-187(2004年8月)
(3)日本原子力産業会議(編):原子力年鑑2005年版・各論、p.315(2004年10月)
(4)原子力委員会(編):原子力白書 平成16年版、国立印刷局、p.139,140(2003年12月)
(5)原子力委員会:原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画、(1994年6月)