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<概要>
 世界のエネルギー需給の動向が、わが国のエネルギー需給と密接に連動していることは論を待たない。今後、発展途上国では急速な経済発展、民生向上が進展し、エネルギー需要も増大するものと予測される。エネルギーに関する安全保障の確保の観点からも、途上国に対するエネルギー利用効率の向上への協力を推進することが、エネルギー先進国であり、大消費国でもあるわが国の責務である。
<更新年月>
2005年04月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 国内資源を持たず、エネルギー供給の対外依存率が約80%という、極めて脆弱な供給構造の下にあるわが国にとって、エネルギーの安定供給、エネルギーに関する安全保障の確保を図ることが最大の課題である(表1-1および表1-2)。
 わが国のエネルギー需給の動向は、世界のエネルギー需給に大きな影響を与えるとともに、世界のエネルギー需給がわが国のそれに与える影響も甚大である。この強い連動関係の中で、わが国のエネルギーセキュリティ確保は、世界のエネルギー需給の安定化と不可分の関係にある。
 発展途上国、特にアジア太平洋地域については、今後の経済成長およびこれに伴うエネルギー需要、特に石油需要の大幅な増大が見込まれる。わが国との関係が深いこれらの国々に対しては、各種エネルギー協力を通じて、積極的な貢献を進めることが重要である。1.エネルギー利用効率の改善
 人材育成、意識の向上、さらに相手方の国情にあわせた技術の開発・移転を促進する指導者育成のための研修生の受入れおよび人材派遣、シンポジウム等による人材交流の活発化、わが国の経験およびその蓄積を活用した省エネルギー推進計画への協力等を進める。途上国の資源、気候、文化等地域特性に適合した技術の移転が必要である。
2.石炭の有効利用
 途上国からの要請も多く、資源開発・利用について中国、インドネシア、フィリピン等で具体的に協力が進んでいる。わが国は、1986年3月に第1回太平洋エネルギー協力会議において「太平洋コールフロー構想」を提唱した。さらに、1987年9月には、太平洋コールフロー構想の民間レベルの推進母体として、電力、石炭などエネルギー関連企業、プラントメーカー他の幅広い機関の参加により、「太平洋コールフロー推進委員会(JAPAC)」が設立され、域内各国における石炭資源開発と石炭利用に関する情報交換および技術者の交流について、着実な成果をあげつつある。
3.電化協力
 エネルギー供給基盤を強化する視点から、途上国において要請の強い電化を推進するため、発電所の立地や送電のあり方を含む地域電化計画の策定の面での協力を推進する。
なお、太陽光発電の開発については、既に共同研究を実施している(表2-1表2-2および表2-3)。
4.環境対策
 エネルギー需要が増大する中で、環境対策が遅れ、その被害の急速な拡大が懸念されることから、簡易型脱硫装置等、相手国の国情に応じた簡便かつ安価な公害防止装置を開発し、その普及を促進する。
<図/表>
表1-1 主要国のエネルギー供給構成(1)(1997年)
表1-1  主要国のエネルギー供給構成(1)(1997年)
表1-2 主要国のエネルギー供給構成(2)(2001年)
表1-2  主要国のエネルギー供給構成(2)(2001年)
表2-1 太陽光発電システム国際共同実証研究の進捗状況(1/3)
表2-1  太陽光発電システム国際共同実証研究の進捗状況(1/3)
表2-2 太陽光発電システム国際共同実証研究の進捗状況(2/3)
表2-2  太陽光発電システム国際共同実証研究の進捗状況(2/3)
表2-3 太陽光発電システム国際共同実証研究の進捗状況(3/3)
表2-3  太陽光発電システム国際共同実証研究の進捗状況(3/3)

<関連タイトル>
太平洋コールフロー構想 (01-09-02-02)

<参考文献>
(1)資源エネルギー庁(監修):1997/1998資源エネルギー年鑑、通産資料調査会(1997年2月)
(2)経済産業省資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギー対策課(編):新エネルギー便覧 平成15年度版、(財)経済産業調査会(2004年3月)、p.263-265
(3)通商産業省(編):エネルギー2000、(株)電力新報社、(1999年10月) p.22-29、p.205-208、p.213
(4)通商産業省(編):エネルギー2004、(株)エネルギーフォーラム、(2004年1月) p.230
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