高速炉の安全事故解析では、設計基準事象(DBA)を超えて炉心損傷に至る事故として炉心崩壊事故(CDA)を考えている。この中でも特に仮想的炉心崩壊事故(HCDA)は、シビアアクシデントに至る特別のケースとして甚だ重要視されている。HCDAでは、起因過程として流量減少、制御棒挿入不能が重なってナトリウムの過度沸騰が起こり、燃料ピン破損、炉心の局所的な燃料溶融に至る事象を想定する。ついで、例えば即発臨界を超える反応度挿入がさらに重なる事態が起こる場合、炉心は急速に膨張して機械的エネルギーを発生し、容器や遮蔽プラグに衝撃を与えナトリウムが噴出し、除熱能力を喪失して炉心全体の溶融から炉心崩壊事故に至る、と想定する。