D-T反応を利用した核融合炉におけるトリチウムの生成、回収、注入サイクルをいう。実用化に最も近い核融合炉は重水素(D)とトリチウム(T、三重水素)を燃料とする方式である。このうち重水は海水中に豊富に存在するが、トリチウムは半減期約12年で崩壊する放射性元素で天然には存在しないため、リチウム(Li)に中性子を照射して人工的に生産する。核融合炉では、熱を取り出すためのブランケット部にリチウムあるいはリチウム化合物を用い、核融合反応で発生する中性子によりリチウム媒質内でトリチウムを生成・回収し、燃料として貯蔵する。貯蔵されたトリチウムは新しい重水素と混合されて、ふたたびプラズマ炉心内に注入される。