π-meson. 陽子間の電気的斥力を抑えて原子核を安定化させる核力(強い相互作用)を媒介する粒子。中間子の一種で、核力を説明するために湯川博士によって1934年にその存在が予言され、パウエル等によって1947年に宇宙線中で発見された。電気的に中性、正および負の3種があり、質量は中性のものが電子の264倍、正と負が273倍である。荷電パイ中間子の寿命は約2.5×10-8で、ミュー粒子とニュートリノに崩壊する。自然界では宇宙線が大気中の原子核との相互作用で生ずる二次宇宙線の中に中性子、陽子などとともにみられる。人工的には大型高出力の陽子加速器で作り出され、悪性腫瘍の治療への応用が試みられている。