熱拡散

熱拡散 ねつかくさん

 温度分布が一様でない混合流体で、気体分子の運動速度の差を利用し、一方の成分を高温側で、他方の成分を低温側で濃度を高くする熱的な拡散の現象である。原子力の分野でもこの現象を利用して、ウラン濃縮の実用化をはかった。すなわちこの現象によると、U−235とU−238の六フッ化ウランの混合流体中を熱が流れるとわずかな拡散流が起こり、軽い成分は上流方向に、重い成分は下流方向に流れる。この熱拡散効果を利用して、濃縮ウランを分離する方法を開発しようとし熱拡散筒を用いて分離実験を行った。この方法は消費エネルギーに対して分離効率が悪いため、実用化されず、ガス拡散法、遠心分離法が実用化された。


<登録年月> 1998年01月

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