電子、イオン等の荷電粒子が物質中を通過する際、物質との相互作用によってエネルギーを失うことをエネルギー損失というが、その度合を表す量を阻止能という。阻止能を生ずる原因は、入射粒子と物質を構成する原子との間の弾性衝突と非弾性衝突とがある。一般に粒子のエネルギーが低い場合には弾性衝突が支配的で、入射エネルギーが高い場合には非弾性衝突が支配的である。阻止能は物質中での飛程を決めるだけではなく、粒子からのエネルギー付与の空間分布を決める重要な量である。阻止能の測定法には、薄膜を通過する間での粒子のエネルギー損失の測定、薄膜に吸収されたエネルギーの測定、ドップラー効果を利用する方法などがある。