放射線照射における生物学的な影響が同じ線量でも線量率により異なることを線量率効果という。動物実験では、同じ線量でも低線量率で照射を受けると影響が小さいことが分かっている。この効果は照射中に放射線損傷からの回復が起こるためと考えられ、線量率効果の度合に線量率効果係数(低減係数ともいう。DREF:Dose−Rate Effectiveness Factor)を用いる。放射線照射によるガンや遺伝的影響の発生確率(放射線リスク)の評価値は、広島、長崎等の原爆被ばく者の疫学データが基礎になっている。放射線業務従事者のように長期にわたって低線量率で被ばくするような場合には、1回の大量被ばくから導かれた評価値をそのまま適用せず、線量率効果係数を定義し、評価値を補正することが行われている。線量率効果係数として2〜10の値が報告されている。