スエリング スウェリング

スエリング すえりんぐ

 swelling. 高エネルギーの中性子線、その他粒子線の照射を受けた原子炉燃料、金属材料等が膨張を起こすこと。この膨張に基づく形状変化を指すこともある。原子炉燃料の場合には、燃焼度の増大とともに核燃料物質が消失し、同時に核分裂生成物が増加することにより原子空孔が集まってボイドを形成し、全体として体積は増加する。この現象をボイドスエリングという。これとは別に、燃焼時に発生する気体状の核分裂生成物が徐々に蓄積し、体積の増加と被覆管内部の圧力上昇を引き起こす。これをバブルスエリングという。原子炉燃料ではバブルスエリングの影響が重要であり、これによる燃料棒の破損を防ぐために被覆管内部にプレナムと呼ぶ空間を設けている。他方、構造材の場合にはボイドスエリングが問題となる。原子炉炉心の構造材料、核融合炉材料等では高エネルギー粒子線の照射によって原子空孔が生まれ、それが成長して発生するボイドスエリングが材料劣化を引き起こす要因の一つとなっており、ボイドの形成や成長のメカニズムに関する研究を通じて、耐スエリング性能の高い材料の開発が進められている。


<登録年月> 2010年01月

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