人の一生を通じて特定の因子に基づく健康障害等が発生する潜在的可能性をいう。通常は、がん、心不全、脳卒中のように近い将来に発生する確率は高くないが、発生した場合に影響が重大な、または生命に危険をもたらすような疾病を対象とする。こうした疾病を引き起こす因子は生活習慣、居住環境、労働環境などさまざまである。喫煙や高線量の放射線被ばくなど、各種の因子について生涯リスクの大きさが定量化されつつあるが、複合的な要因で発生する疾病もあり、まだその影響が十分に解明されていない因子も多い。例えば、放射線被ばくは低線量であっても発がんに関する有意な生涯リスクを持っている(確率論的には閾値は存在しない)ため、集団被ばく線量の大きさを管理する必要があるとの考えに基づき安全規制が行われているが、低線量の放射線被ばくに起因する発がんリスクについてはまだ明確には分かっていない。