出力暴走

出力暴走 しゅつりょくぼうそう

 原子炉において、何らかの原因により実効増倍率が1を超えた臨界超過の状態にあり、出力が制御できすに急速に増大していく状態をいう。発電用原子炉では一般に工学的な原子炉保護設備を完備し、また、固有の安全性(負の反応度係数など)を持つように設計されており、現在の原子力発電所では出力暴走に対して万全の対策が施されている。しかし、原子力発電の歴史の中では1986年のチェルノブイリ原子力発電所第4号機事故のように、安全装置を解除した中で正の反応度効果を有する低出力領域での運転を行うことによって出力暴走が起こり、炉心溶融、水蒸気爆発を伴う大事故に発展した事例もある。また、古くは1961年に米国の軍事基地電源供給用の原子炉SL-1において、5本の制御棒のうちの1本が完全に引き抜かれた際に臨界超過となり、反応度が急激に添加されて出力暴走に至る事故があった。


<登録年月> 2010年12月

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