真空中または物質中を自由に運行する電子をいう。これに対し、原子核に引かれて原子内にとどまる電子は束縛電子と呼ばれる。ローレンツは金属中では自由電子が気体分子と同様に飛びまわっているものと考え、気体分子運動論を適応して金属の電気伝導や熱伝導を説明した。量子論によれば、結晶中の周期ポテンシャルの影響でエネルギー準位は帯構造をとるが、伝導帯の電子は自由電子として扱われる。自由電子の性質あるいは自由電子と格子振動との相互作用などによって、金属の電気伝導・熱伝導・比熱・磁性などは説明される。高温プラズマを構成する電子は古典的な電子として扱われる。