高エネルギーの電磁波(X線又はγ線)は光子の性質が強く、物質中でコンプトン散乱、光電効果、又は電子対生成によってエネルギーを失う。これらの相互作用により、強度(光子の束密度)は物質中で指数関数的に減衰する。単位距離当たりでみた減衰係数を線減衰係数\(\mu\)とし、これを物質の密度\(\rho\)で割った減衰係数を質量減衰係数\(\mu_{m}(=\frac{\mu}{\rho})\)とすれば、強度は次の式に従って減衰する。
\[
I=I_{0}e^{-\mu{x}}
\]
この式で、線減衰係数\(\mu\)は\(m^{-1}\)の単位をもつ。この式を質量減衰係数の概念で書き換えると、\(I=I_{0}e^{-(\frac{\mu}{\rho})*(\rho{x})}\)、すなわち\(I=I_{0}e^{-\mu_{m}*(\rho{x})}\)となる。ここで、\(\rho{x}\)は物質の質量厚さと呼ばれる概念で\(\frac{kg}{m^{2}}\)の単位を持つ。したがって、質量減衰係数の単位はこの逆数となる。質量減衰係数は物質の物理的状態に影響されず、また物質の種類で大きく変化しないので、放射線の測定では通例はこの量が用いられる。