軽水炉の一次(原子炉)冷却系には炉心を熱源とした循環ループがあり、通常運転時は一次冷却材ポンプ(原子炉主循環ポンプ)などの外部からの駆動力により原子炉冷却材が強制循環されている。このポンプが停止した際にも原子炉冷却材の密度分布による差や一部にボイドが発生することによってループ内に原子炉冷却材の循環(能力)を生じる。このような循環を自然循環(自然対流)という。沸騰水型原子炉では、原子炉圧力容器内自然循環だけで定格流量の半分に近い出力で運転を行うことができる。自然循環は、冷却材喪失事故時や、何らかの原因によるポンプ停止時に炉心の除熱をする上で重要な役割を果たす。