戦略核兵器を主体とした軍備削減条約。START(Strategic Arms Reduction Treaty)と略称される。1982年から米国とソ連の間で交渉が開始され、両国は1991年7月に第一次戦略兵器削減条約(START I)に調印した。これにより、戦略核弾頭の上限を制限するとともに、史上初めて戦略核兵器の削減を行うことを約束した。第二次戦略兵器削減条約(START II)は1993年1月に調印された。これは、START Iをさらに発展させ、2003年までに戦略兵器の弾頭数を3分の1に削減する内容であった。米国は1996年に批准したがロシアが批准しなかったため、削減期限を2007年に延長した議定書が結ばれた。しかし、この議定書に対しては、ロシアが批准したものの米国が批准を行わず、また、米国が2001年に弾道弾迎撃ミサイル制限条約を廃棄したこともあり、ロシアはSTART IIを実行しないこととした。また、1999年から第三次戦略兵器削減条約(START III)の協議も開始されたが、交渉は進展しなかった。こうした中で、戦略的安定を担保する新たな枠組みの構築に向けて、両国は戦略攻撃能力削減に関する条約(モスクワ条約)を2002年に締結した。