muon. 電子と類似した性質を持つレプトンと呼ばれる素粒子の一種。電気素量に等しい負の電荷と1/2のスピンを持つ。静止質量は105.66MeV/C2(電子の約200倍)で、電子と同様に正の電荷を持つ反粒子がある。平均寿命2.2μ秒で負ミューオン(μ−)は電子、反電子ニュートリノ、μニュートリノに、その反粒子である正ミューオン(μ+)は陽電子、電子ニュートリノ、反μニュートリノに壊変する。宇宙線の霧箱写真から1937年にカール・アンダーソンらによって発見された。ミューオンは粒子線として陽子加速器施設において利用されており、素粒子物理学、原子核物理学、物性物理学から化学、エネルギー問題などの応用工学まで、幅広い学際的研究分野で役立てられている。日本では、大強度陽子加速器(J−PARC、茨城県東海村)が2008年度に竣工し、2009年度からミューオン実験施設が供用を開始した。