食品照射とは、食品・食材に放射線を照射することをいう。非加熱処理技術であることがこの方法の有用な特徴の一つである。具体的には、放射線による生物学的作用(致死作用、代謝攪乱作用)を利用した、食品の衛生化(病原菌、寄生虫の殺滅)や保存性の延長(腐敗菌、食害昆虫の殺滅、発芽防止、熟度調整)を目的としている。また、放射線の化学的作用(重合、分解)および物理的作用(高分子化合物の高次構造変化)を利用した食品の改質も期待されている。2003年4月の時点では、53か国で230品目の照射食品が許可され、32か国、40品目が実用化されている。日本では馬鈴薯の発芽抑制のみが実用化されている。2006年10月、食品照射の今後の取組みについて原子力委員会決定がなされ、国民との相互理解の充実に向けた取組みが進められている。国内外の食品照射の状況を表に示す。