宇宙線を目で見る装置としてのスパークチェンバーは、1960年から1968年に多芯比例計数管が発明されるまでのおよそ10年間にわたり宇宙線の研究や加速器を用いた原子核実験のための装置として用いられた。その構造は、チェンバーの上下にGM検出器を配置し、金属板あるいは導電性のガラス板を電極とし、0.5mmまたは2mmの厚さのガラスで内寸を8.5cm×13cm×2cmの横長の箱を、宇宙線の通過を立体的に観察するために複数個重ねたものである。内部は1気圧のネオンとアルゴンの混合ガスまたはヘリウムガスを用いている。上下のGM検出器の信号の同時計数で宇宙線(ミュー粒子や電子などの荷電粒子)の通過した事象を捉え、これで高圧電源をトリガーし、電源パルス(遅延時間1〜2μs)を印加する。宇宙線の飛跡に沿って電離が起こり、その後に高電圧を印加すると電離で自由になった電子が加速され、電子なだれ現象が発生し放電(スパーク)に成長する。実際の宇宙線による放電の様子は、10分間の露光写真撮影により観測ができる。