黄砂

黄砂 こうさ

 中国内陸部のタクラマカン砂漠や黄土高原、中国からモンゴルにかけて広がるゴビ砂漠などの乾燥・半乾燥地域から、強風によって数千メートルの高度まで巻き上げられた土壌・鉱物粒子が偏西風に乗って拡散し、浮遊しつつ降下する現象。粒子の色彩から黄砂と呼ばれる。春先から初夏にかけて、東アジアを経由する低気圧に伴って日本をはじめ東アジア、西太平洋地域などに発生することが多い。黄砂現象が頻発する要因としては、中国北西部での過耕作、過放牧、過揚水などによる土地の劣化などが考えられる。黄砂は近年、気候変動に関連する要因の一つとして注目されるようになった。その理由は、黄砂による日射と赤外線放射の散乱・吸収過程を通じた大気の加熱または冷却効果、黄砂を核とした雲の形成、海洋面に沈着した黄砂中の鉄分によるバイオマス分布の変化に起因する大気−海洋系の炭素循環や海洋上の雲の形成などが、地球の気候に影響を及ぼすと考えられるためである。


<登録年月> 2012年01月

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