遺伝毒性試験は直接あるいは間接的に遺伝的な傷害を引き起こす物質を検出するための試験であり、In vitroとIn vivoの二つの試験がある。遺伝毒性試験はDNAの損傷とその固定に基づく傷害を検出する。遺伝子突然変異、染色体の広範な損傷、組換えおよび染色体数の変化などのDNA損傷の固定は、遺伝性の影響が現われる際に不可欠と考えられる。動物を用いる遺伝毒性試験は化学物質のヒトに対する影響を評価する上で重要である。細菌を用いる遺伝毒性試験は簡便であり、化学物質のDNAに対する損傷性や突然変異誘発能を調べるのに適している。培養細胞を用いる遺伝毒性試験は生体から分離された培養細胞株を用いて、初期DNA損傷、染色体構造異常、形質転換を簡便に試験することができる。厚生省(現、厚生労働省)は1998年7月に、「遺伝毒性試験:医薬品の遺伝毒性試験の標準的組合せ」について(医薬審第554号)を各都道府県衛生主管部(局)長宛に発給している。