化学的防護効果

化学的防護効果 かがくてきぼうごこうか

 chemical protection effect。生体高分子(生体重要分子)に放射線が照射される場合に、ある種の物質によって生体高分子の化学変化が軽減・抑制される効果。 生体高分子に添加された化学物質によって、放射線の照射効果が初期の化学的変化の過程に干渉して放射線のエネルギーを散逸させたり、生体高分子中に含まれる水中に生じるラジカルと結合するなどにより、生体高分子の化学的な変化が軽減・抑制されることがある。これを化学的防護効果という。照射により水溶液中に生じたラジカル(遊離基)と反応しやすい第3の溶質分子が存在すれば、競合反応が起って生体重要分子の障害が軽減される。システインなどのSH化合物はOH−、HO2−、H2O2のような遊離基と反応しやすいので障害軽減作用がある。化学的防護の機構には、ラジカルとの競合反応のほか、酸素分圧低下作用もある。


<登録年月> 1998年01月

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