海水に含まれる約3.5%の塩分を除去して、人の飲料などに適した淡水(塩分濃度0.05%以下)に転換することを海水淡水化という。離島や慢性的な水不足に悩む地域における渇水対策として期待され、活用されている。海水の淡水化には、海水を加熱して蒸発させ淡水を得る蒸発法と、海水に圧力をかけてろ過膜を通し、塩分と無機物を除去する逆浸透法などいくつかの技術や手法がある。近年は、エネルギー消費の少ない逆浸透法が各地で採用されている。日本では1966年に長崎県内に初めて淡水化プラントが設置され、2005年には渇水で悩む福岡市に1日最大5万立方メートルの淡水化プラントが設置された。世界全体ではサウジアラビア、クエートなどの中東諸国を中心に1日に2,000万立方メートル以上の淡水が海水から製造されている。最近では、海水淡水化に必要な加熱源、加圧機の駆動力として原子力発電プラントの利用が検討されている。