生物の遺伝情報(DNAあるいは染色体)に突然変異をひき起こす性質あるいはその作用の強さを「変異原性」(Mutagenicity)という。遺伝毒性(Genotoxicity)もしくは遺伝子毒性と呼ぶこともある。変異原性によって遺伝情報に狂いが生じ、子孫に遺伝的な変化を生じさせ(遺伝毒性の名はこれを意味する)、さらに、可能性として遺伝病や染色体異常による疾病をひき起こすこともある。また、突然変異をひき起こす物質または物理的作用(放射線など)は変異原(Mutagen)と言われ、生活環境中に何万種もある。変異原性を検索する手段としては、細菌、培養細胞、実験動物を用いる試験法があり総称して変異原性試験という。変異原性の研究は発がん性の可能性がある物質を見つけ出すことにも役立つと考えられ、変異原性試験は発がん性物質のスクリーニング試験としての意味も持つ。