ボナーボール型中性子検出器は、中性子のエネルギー・スペクトルの測定に古くから用いられてきた機器である。検出の原理は次のとおりである。速中性子と水素の衝突によって、高エネルギーのプロトンとトリチウムを発生させ、これらの高エネルギー粒子をヘリウム−3に衝突させて、ヘリウム−3をイオン化し、1000ボルト程度の電圧を印加することによって電流として検出する。すなわち、n + He−3 → p(プロトン)+ H−3(トリチウム)+764keV、 p + He−3 → p + e(電子)+He−3+ (トリチウムについても同様の反応が起る)。検出器の構造としては、大気圧の6倍程度のヘリウム−3を満たしたステンレスの容器(ボナーボール)の周囲に水素を多量に含有する材料(ポリエチレンなど)を配する。サイズの違う検出器を数個用意し、カウント数を求めると、ボナーボールのサイズの差は、最大入射エネルギーの差になって反映されるため、結果的にエネルギー・スペクトルを計測できる。この原理を用いた検出器が国際宇宙ステーションに適用され、測定が実施された。