無限大の体系における中性子増倍率を表す公式。核分裂で生まれた中性子が再び核分裂を起こして次の中性子を生み出すまでを世代といい、世代間の中性子の数の比を中性子増倍率と呼ぶ。無限大の体系では中性子の漏れが無視できるので、中性子増倍率は以下に示す公式で表される。
k∞ = εpfη
ここで、εは238Uによる高速中性子核分裂効果(fast fission factor)、p は238Uの共鳴吸収を逃れる確率(resonance escape probability)、f は熱中性子利用率(燃料に吸収される熱中性子の割合;thermal utilization factor)、ηは再生率(燃料が中性子1個を吸収した時に核分裂で生まれる次の世代の中性子の平均個数)であり、これらの4つの因子の積で表されることから4因子公式と呼ばれる。仮想的な無限大原子炉では、k∞が1の時に臨界、1を超える時に臨界超過、1に満たない時に臨界未満となる。現実の原子炉では必ず中性子の漏れがあるため、k∞が1を超えていなければ臨界にはなり得ない。