熱時効脆化

熱時効脆化 ねつじこうぜいか

 オーステナイト相とフェライト相が共存する2相ステンレス鋼は、300℃以上の高温に長時間さらされた場合に材料劣化が進行して靭性が低下する現象をいう。この現象は、熱時効の際にフェライト相中にCrの割合の高い相が析出し、この析出物がフェライト相を硬化させることによって発生すると考えられている。熱時効による脆化の程度は、シャルピー衝撃試験による脆性遷移温度と上部棚吸収エネルギーの測定により、遷移温度の上昇、吸収エネルギーの低下が検出できる。脆化の程度は、さらされる温度が高いほど、また材料のフェライト相が多いほど顕著なので、フェライト相はおよそ24%以下の材料を使用することが必要である。2相ステンレス鋼は、耐食性に優れ、高い強度と靱性をもち溶接性にも優れているので原子力発電所の一次冷却材系など厳しい環境下において使用されている。高経年化対策の一環として熱時効脆化に対する健全性の確認が重要である。


<登録年月> 2013年01月

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