物質のX線に対する屈折率は1よりも小さいため、平滑な物質の表面すれすれにX線を入射させると全反射を起こす。この性質を利用して、反射率(入射X線強度/全反射X線強度)の入射角度依存性を測定することにより、物質の表面近傍や薄膜の構造を非破壊的に評価できる。反射されたX線の干渉パターンを解析することで、薄膜の膜厚、密度、また表面や界面の凹凸の状態に関する情報が得られる。このように、X線の反射率によって膜構造や密度を評価する方法をX線反射率法(grazing incidence X−ray reflectivity technique、GIXR)という。反射率データから膜の厚さ、屈折率、表面粗さ、密度などが計算できる。非常に小さな入射角度のX線の反射率を測定するため、入射X線については、高い平行性と単色性、高強度、高い角度走査分解能などが必要である。